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株式会社 白組

5営業日かかっていた36協定管理が0営業日に!?働き方の見える化で労務管理がもっとラクに。

事例ポイント

課題

  • 勤怠集計をExcelで行なっており、従業員の労働時間をタイムリーに把握することができなかった
  • 残業や有給休暇の残日数を把握するには都度、管理部に問い合わせをする必要があり、非効率な運用が強いられていた
  • 36協定管理に、毎月5日ほどかかっていた

決め手

  • 直感的に自身の労働時間の内容を把握することできる、見やすい勤務画面
  • 自身の勤務画面で就業状況にまつわる自分の情報を確認することができる
  • 作業負荷なく、従業員の労働時間を可視化できるレポート・ダッシュボード機能

効果

  • 就業状況を見ながら、自身の働き方を自己管理する文化が定着
  • 従業員からの問い合わせが減り、管理部側の対応工数が大幅に削減
  • 元々5日ほどかかっていた36協定の管理工数がゼロに
  • オフィスへの入室から自然な流れで打刻ができるようになり、打刻率が向上

事例概要

機能 勤怠管理, 工数管理,経費精算,レポート・ダッシュボード
業種 その他
従業員数 100~499人

多様な造形表現を生み出す「舞台」の上で、平等の関係をもとに個が集い、大きな仕事を成し遂げる、というビジョンを掲げている株式会社白組。日本映画として初めて第96回 アカデミー賞Ⓡ 視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』の視覚効果を担当するなど、人の心を打つ魅力的な映像を数多く世の中に送り出している。同社の従業員はそれぞれの仕事を楽しみながら取り組んでいる一方で、自分自身の労働時間の自己管理も徹底している。ここで重要な役割を果たしているのがTeamSpiritだ。2013年に導入され、勤怠管理や工数管理、経費精算、稟議、など、幅広い用途で10年以上使われ続けている。また「楽しく長く働く」ためには、労働基準法などのルールを理解する必要もあるが、その啓蒙のため「働き方ホームページ」も2017年に開設。そのコンテンツ制作でも、TeamSpiritのわかりやすい画面が積極的に活用されている。

仕事を長く続けるには過剰労働にならない環境が不可欠

1974年に設立され、劇場用映画やテレビ番組、ネット配信用番組、ゲーム、CMなど、多様な媒体でコンピューターグラフィックス(CG)やアニメーション、VFX(視覚効果)などを手掛けている同社。社名の「白」は映画のスクリーンや絵画のキャンバス、画用紙など、多様な造形表現を生み出す「舞台」を表しており、「組」は平等の関係を基に個が集い、切磋琢磨し、大きな仕事を成し遂げるための「器」を意味している。

同社の近年の仕事でよく知られているのが、第96回アカデミー賞Ⓡで日本映画初の「視覚効果賞」を受賞した『ゴジラ-1.0』だといえるだろう。同社はその視覚効果を担当している。他にも、映画では『シン・仮面ライダー』『アルキメデスの大戦』『はたらく細胞』、ゲームでは『ゼルダの伝説』『FINAL FANTASY VII REBIRTH』、CMでは「い・ろ・は・す『森と水とみんなの未来』編」「GREEN DA・KA・RA『お風呂編Wide』」等々、人の心を打つ魅力的な映像を数多く世の中に送り出している。

「当社では社員一人ひとりが自分の仕事を楽しんでおり、『クリエイター天国』と呼ばれることもあります」と言うのは、2003年に同社へ入社しSolution Expertを務める鈴木 勝氏。

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Solution Expert 鈴木氏

同社では、アニメが得意なチーム、VFXが得意なチームなど、基本的なチーム分けがされているものの、スタッフィングは案件毎に流動的に行われ、自チームでの仕事と並行して他の案件に参加する従業員も多いという。「ほとんどの社員はこの会社に長くとどまり、仕事を続けながらスキルを高め続けたいと考えています。社長自身も作る仕事をずっと続けたいが故に、この会社を作ったようなものだと言っています」と鈴木氏は語る。

自分の仕事が好きなプロフェッショナル集団。まさに理想的な職場環境だといえるだろう。しかし長期的に仕事を続けていくには、過剰労働にならない環境を整備することも欠かせないと鈴木氏は指摘する。

「同時に複数の仕事をすることを推奨しているのもその一環です。1つの仕事に没頭し続けると、行き詰まった時にストレスが大きくなり、燃え尽きてしまうこともあるからです。また自分の労働時間を自分自身で把握し、適切にコントロールできる仕組みも欠かせません。以前からも管理部門が事前に声がけすることで、36協定を遵守した範囲での勤務を徹底していましたが、これを自己管理できるようにすることで、より最適な時間の使い方が可能になるからです。」

7つの理由からTeamSpiritを選択し2013年に導入

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そのために重要な役割を果たしているのがTeamSpiritだと鈴木氏は次のように語る。

「2002年にある製品を導入してタイムカードの打刻を電子化する、といった取り組みを行っていました。この製品は10年ほど使い続けてきましたが、残業時間などの集計はExcelなどを使って手作業で行う必要があり、社員一人ひとりが自分の労働時間をタイムリーに把握できる状況ではありませんでした。そこで2011年にオープンソース(誰でも利用・改良・再配布が可能な形態)の無料グループウェアを試行した上で、TeamSpiritの導入を決定しました。」

TeamSpiritの採用理由は大きく7つあったと鈴木氏は振り返る。
第1は、月の労働時間をグラフ化した状態で従業員に提示できること。これによって「労働時間の自己管理」が容易になる。

第2は、オンプレミスではなくSaaS型のソリューションであること。オンプレミスでは定期的なサーバーメンテナンスが必要になり、数年毎にサーバー更新を行う必要があるが、これを回避したいと考えていた。今ではSaaS型ソリューションは一般的になっているが10年前の当時はSaaS型の勤怠管理システムは世の中に普及していなかったという。

第3は、モバイル端末でも使えること。同社では残業や休暇取得は申請制になっているが、忙しい上司ほど外出が多く、外出先でも承認できることが求められた。

第4は、交通費精算の自動計算が行えること。同社ではリモート勤務の従業員が多いこともあり、公平性を担保するために通勤定期代の支給ではなく、出社回数に応じたIC運賃の実費支給をしている。通勤以外の 移動が発生するたびに申請するようにしている。TeamSpiritであれば移動区間を指定するだけで交通費が自動計算でき、頻繁に利用する区間の再入力も簡単に行える。

第5は、法律や制度の改正に迅速に追従すること。同社ではすでに10年以上TeamSpiritを使い続けているが、当初の期待通り法改正・制度改正への対応が早いという。

第6は、コストパフォーマンスの高さ。当時の一般的なソリューションは、ユーザー毎のライセンス料に加え、基本料金や初期セットアップ料金、オプション料金などが加算され、コストが割高だった。これに対してTeamSpiritは1社あたりの月額料金となっているため、多種多様な機能を追加料金なしで利用できる

そして第7は、ICカードでの打刻が可能なことだ。同社では2017年にCloud's Spice On TeamSpiritを導入し、ICカード打刻を実現。オフィスの入口がICカードで解錠される仕組みになっており、入口を入ったすぐの場所に打刻用の専用端末を設置している。「オフィスに入ってそのままICカードで打刻するという、自然な流れで打刻できるようにしています。こうすれば打刻忘れも少なくなり、自然と打刻率も向上します。一定時間打刻がない場合には、TeamSpiritから自動的にSlack経由で、その社員に通知が飛ぶようになっています」と鈴木氏。

色分けされたグラフで自己管理が容易、管理者にとっても使いやすい基盤

TeamSpiritの活用でまず注目したいのが、労働時間の自己管理が行いやすくなったことである。TeamSpiritの勤務表は、労働時間の内訳をわかりやすく色分けされている。「所定労働時間、休憩時間、残業時間など、就業時間によって表示されるグラフのカラーが分かれているため、直感的に自身の労働時間の内容を把握することができます。また、勤務場所も勤務表内でチェックすることが可能になっていたりと、使用者目線の使いやすいUI/UXもTeamSpiritの魅力です。」と鈴木氏は語る。

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また、月の就業情報がまとまった勤怠サマリー画面では、残業時間や有給休暇の残日数なども把握することが可能。以前はこのような情報を得るには随時、管理部門に問い合わせる必要があったが、TeamSpiritを導入してからは「これだけ有給休暇が残っているなら今のうちに休んでおこう」といったことを、自分自身ですぐに判断できるようになった。今では従業員からの問い合わせはほぼ無くなり、管理部門の対応工数を大幅に削減できたという。

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現場従業員だけではなく、管理者にとってもTeamSpiritは使いやすいという。チーム全体の管理画面から各メンバーの勤怠画面へと、簡単に切り替えられる。また、自身の勤怠状況を可視化できるようになったことで同社では、36協定遵守を徹底しやすくするために次のようなゲーム的な要素を取り入れているという。「36協定で定める時間外労働の上限は月45時間となっており、特別条項を結んだ場合でも月45時間超えは年6回しか許されていません。そこで当社ではこの6回を6枚のカードだと考え、残りのカードが何枚なのかという考え方で管理を行っています。例えばあるプロジェクトでカードを1枚使ってしまうと、他のプロジェクトで使えるカードの枚数が少なくなるわけです。もし時間のかかるプロジェクトが控えているのであれば、その前のプロジェクトではカードを温存するといった判断が必要です。このようなイメージにすることで、現場でのチームマネジメントを行いやすくしているのです」と鈴木氏。

以前は36協定が遵守されているかどうかを、Excelなどで手計算することで管理していたが、今ではTeamSpiritですぐに集計値が表示されるため、手作業によるミスも無くなり、集計作業の負荷も大幅に削減された。
「以前は、毎月5日ほどかけていましたが、TeamSpirit導入後はほぼゼロになっている」と鈴木氏。

各種申請もTeamSpiritを活用、モバイル対応でどこでも承認可能

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残業申請や休暇申請などの各種申請や届出、稟議なども、TeamSpiritで行われている。購買も頻繁に行なっているシステム部では、TeamSpiritの画面で申請を行えばすぐに上司にSlackで通知が行き、上司が社外にいた場合でもモバイル端末で承認が行える。その記録もTeamSpiritに残るため、Excelなどによる別管理は必要ない。もちろん経費申請も同様だ。交通費の精算も、区間を指定すれば自動計算され、その内容が申請される。

また、同社では工数管理もTeamSpiritで管理している。ここで注目したいのが、どの仕事に「何時間費やしたのか」という1時間や2時間といった固定値だけの管理ではなく、「パーセンテージ」で入力できるストレスフリーな操作性もTeamSpiritの魅力だという。

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「映像制作の仕事は個々の業務を明確に切り分けることが簡単ではありません。例えば、コンピューターに画像や映像を生成させる『レンダリング』という業務を行っている最中は、その待ち時間に他の業務を行っていることが少なくないのです。実時間で正確に入力するとなれば、現場で悩んでしまう社員も出てくるでしょう。そこで当社ではだいたいの比率を入力してもらい、入力負荷を削減し、日次入力の徹底を行なっています」と鈴木氏。

映像制作の現場では高性能ワークステーションやパソコンなどの機材が必要になるが、その手配や移動の申請もチームスピリットで行っている。つまりTeamSpiritは、人も含めた「リソース管理のプラットフォーム」になっているのだ。これによって、各プロジェクトで"どのリソースをどれだけ使ったのか"の記録も残る。その記録を基に、例えばパソコンのコストを各プロジェクトに按分する、といったことも可能になったという。「プロジェクトの原価管理はSalesforceをカスタムすることで実現していますが、原価按分に必要な情報はSalesforce上で動くTeamSpiritで生成されています。すべての計算がここで完結することで、管理部門における集計・管理作業の負荷も大幅に軽減されました。」

働き方の啓蒙活動でもTeamSpiritの画面を積極活用

「システムを変えただけでは働き方は変わりません。楽しく働き続けるためにはルールを理解してもらうことも必要です、そのため、当社では2017年からは『働き方ホームページ』も開設し、働き方に関する啓蒙活動も展開しています」と鈴木氏。法改正などで変化したルールの内容や、TeamSpirit での対応内容、その実際の使い方などを、わかりやすく解説しているのだという。

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「最初はTeamSpirit画面の見方を解説するところからスタートしたのですが、言葉だけではなかなか伝わりにくいことがわかりました。そこで管理部門のみんなで一緒になって考えて、TeamSpiritの実際の画面のスクリーンショットを掲載しながら、見方や使い方を説明することにしたのです。TeamSpiritは製品の完成度が高く、画面も直感的にわかりやすいため、この方法はとても効果的でした。」

2019年4月には「働き方改革関連法」による労働基準法の大幅な改正があったが、その内容の解説も、TeamSpiritの画面をふんだんに使った「働き方ホームページ」で行われている。

「当社では特別条項付き36協定の締結により、ひと月の時間外労働時間の上限が80時間となっていますが、2019年の法改正後は法定休日労働も含めた上限80時間を守ることも求められています。そのため、これに違反せずに繁忙期を乗り越えるには、その集計方法についてしっかり理解していただく必要がありました。どちらも同じ80時間を上限としているため、その違いはなかなか理解しづらいのですが、TeamSpiritの勤務表で説明することで、理解が容易になりました。その上で各部門ごとに説明会を開催し、質疑応答を行うことで、社員の理解を深められたと感じています。」

もちろんこれに伴い、TeamSpiritのダッシュボード変更も行われている。その月の36協定の時間外労働時間合計に加えて、法定休日も含んだ時間外労働の合計や、時間外労働の年間合計時間も表示している。これによって自分の労働状況が適法なのかを、いつでも自分自身で確認できるのである。

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TeamSpiritを共通言語に他の中小企業ともノウハウを共有

「今後は、プロジェクトの個別原価管理を実現するシステム(TeamSpirit Leaders)も導入し、現在使っている機能と統合することも考えています」と鈴木氏。これによってプロジェクト管理の敷居は、一気に下がるはずだという。「当社のように数多くのプロジェクトが同時並行的に走る企業の場合には、このようなノウハウの蓄積も重要だと考えています。」

ここでもう1つ注目したいのが、蓄積したノウハウを自社だけで活用するのではなく、他の企業と共有することも視野に入れていることだ。実際に鈴木氏はすでに、他の中小企業からの相談にも乗っているという。

「当社も中小企業ですが、このスケールでマネジメントをどう取り入れていくかは、日本全体の課題だと考えています。実際に他の会社の話を聞くと、できていないことは共通しているのです。お互いに『自分の会社ではこうしている』といったことを見せ合えば、『この部分は真似してみよう』という動きが広がっていくのではないでしょうか。」

その共通基盤としても、TeamSpirit は重要な役割を果たせるという。製品自体の完成度が高いだけではなく、ユーザー企業が積極的にノウハウなどを発信しており、それに対してTeamSpiritが積極的に応える、という文化が存在するからだという。

「横のつながりが広がっていけば、様々な発見が生まれ、楽しく取り組んでいけます。Salesforceを直接使うのはエンジニア経験がないとハードルが高いと思いますが、TeamSpirit なら一気に敷居が下がります。その機能や使い方を共通言語にすることで、中小企業のマネジメントの最適化を加速できるはずです。」

株式会社 白組

設立
1974年8月
事業内容
映像制作
URL
https://shirogumi.com/
取材年月
2024年12月