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株式会社クレスコ

多様で柔軟な働き方の実現に向けて進化を続ける「プラチナくるみん」認定企業の人事施策とTeamSpirit活用方法

事例ポイント

課題

  • 勤怠管理の脱Excelを進めたかった
  • 勤怠情報のリアルタイムな把握ができず、過重労働発生リスクがあった
  • 仕事と育児の両立支援を実現したかった

決め手

  • 最新の法制度や多様な働き方に標準機能で柔軟に対応できる
  • 事務担当者が手軽に必要なレポートを作成できる

効果

  • 最新法令や社内制度を遵守しつつ、効率的な勤怠管理ができるようになった
  • 労働時間や休暇状況が見える化され、先手の労務管理ができるようになった
  • 勤怠と工数の連動により、案件ごとの原価管理の精度が向上した

事例概要

機能 勤怠管理, 工数管理, 電子稟議, レポート・ダッシュボード
業種 IT・インターネット, システム開発
従業員数 1000人以上
特徴 自動化による作業時間の削減, ペーパーレス・脱エクセル, テレワークなど多様な働き方の推進, 最新法令への対応, データの見える化・分析

アプリケーション開発・ITインフラシステム構築・組み込みシステム開発の3つのコア技術により企画から開発・保守までを実施する「ITサービス」と先端技術を基にした製品・サービス群を提供する「デジタルソリューション」を軸に企業のデジタル変革を推進する株式会社クレスコ。独立系システムインテグレーターとして異例のスピードで東証一部上場を果たした同社は、常に時代の変化を見据え、最新技術を融合したITソリューションを幅広い業界に提供することで成長を続けてきた。

成長の背景には企業理念であるクレスコ憲章という創業時からの想いが社員に共有され、重要な局面ではこの憲章に基づき判断・行動されていることにある。特に第一項の「クレスコは人間中心、実力本位の会社である」は大切にされている理念だ。

クレスコ憲章

一、  クレスコ は人間中心、実力本位の会社である
一、  クレスコ は自由、若さ、夢をもつ会社である
一、  クレスコ は最高の技術を発揮する会社である
一、  クレスコ は皆が経営する会社である
一、  クレスコ は世界で生きる会社である

他社とは一線を画す先進的な取り組みは外部機関からも高く評価されており、2010年から4期連続で厚生労働省の「子育てサポート認定事業主マーク(くるみん)」に認定されているほか、2019年には子育てサポートトップ企業の証ともいえる「プラチナくるみん」の認定も同時取得。さらに2017年には女性活躍推進法認定マーク「えるぼし」の最高位にも認定されている。

長時間労働が問題になりがちなIT業界。その中で同社は「仕事と育児の両立」や「女性の活躍推進」、「生産性向上」などの課題にどのように向き合い、取り組みを進めてきたのか。今回、その軌跡とTeamSpiritの活用方法について、総合人事部の鈴木氏、大島氏、山田氏に話を聞いた。

働き方改革黎明期から、独自の制度で仕事と育児の両立を支援

同社は2007年という早い段階から「仕事と育児の両立支援の充実化」をテーマに人事制度を整えてきた。「当時は出産を機に退職する女性社員がいたため、会社にとって大きな損失になっていました」と鈴木氏。そこで、育児と仕事の両立に悩む女性社員が安心して働き続けられるよう独自の制度を設け、その背中を押し続けてきた。

2007年当時の主な取り組み

妊娠時

母子健診休暇

健診日に有給の母子健診休暇を取得することが可能

マタニティ休暇

つわり等で体調が悪いときに連続で取得することが可能

妊娠時期の通勤補助

妊娠時期はグリーン車・新幹線での通勤が可能 など

育児期

育児休業

最大で子が3歳に達した後の最初の4月30日まで取得することが可能

育児短時間勤務

小学校就学まで1日4時間勤務から可能(現在は小学校6年生卒業まで)

子の看護休暇

小学校就学前の子を看護する場合、年5日の休暇を取得することが可能(現在は小学校6年生卒業までの子の看護で年20日まで)など

※当時の育児休業法では「育児休業は原則1歳まで(保育所に入れない等の場合は1歳6ヶ月)」、「所定労働時間の短縮は3歳未満」

その後、2011年から2016年の5カ年ビジョン『次世代クレスコ』では、「女性が活躍できる職場」をテーマとし、出産後も働き続けられる環境を拡充し、また女性が管理職を目指せる仕組みづくりを進めた。 「社内のPR活動により育児休業を取得する男性も徐々に増えていましたが、本当に働きやすい環境をつくるには育児関連の制度を充実させるだけでは不十分だということもわかってきました。子どもの有無に関わらず、あらゆる社員のワークライフバランスをケアすることが重要だと考え、さらに制度を整えました」と鈴木氏は語る。2019年4月の労働基準法改正により有給休暇の取得が義務化されたことは記憶に新しいが、同社はこれに先立ち、2015年に最低5日間の有給休暇取得を推奨する取り組みを始めた。

さらに、このような制度の充実化を進めるうちに、社員自らが仕事と育児の両立で悩む社員の相談に乗ったり、お互いに情報共有しようというコミュニティが発足し、育児休業取得後もしっかりと職場復帰し、助け合いながら働き続けるという風土が定着してきたという。

総合人事部 部長 社会保険労務士 鈴木智裕氏

「働きやすい環境づくり」から、「働きがいと生産性の追求」へ

そして、2016年。同社は『CRESCO Ambition 2020』という新ビジョンを掲げ、働きがいと生産性の追求等を目指した新たな取り組みをスタートさせる。その中で採用されたのがTeamSpiritだった。

『CRESCO Ambition 2020』の取り組み

スーパーリフレッシュデーの設置

毎月第3水曜日は定時退社を必須とする。※常駐先にもレターを配布し徹底。
その他の水曜日はリフレッシュデーとして定時退社を推奨。

年間5日以上の有給取得推進

有給休暇取得率は84%にまで上昇。(現在は年間8日以上の有給休暇取得を推奨)

有休奨励日の設置

休日と祝日に挟まれた平日を有休奨励日として連続休暇を促進。有休奨励日に有休が付与されていない社員には特別休暇を付与。

勤務間インターバル

勤務終了から翌日の出社まで10時間以上のインターバルを取得。

所定労働時間の短縮

1日8時間から7時間30分に短縮。

生産性向上を目指すうえで、間接業務の効率化は大きな課題でした」と鈴木氏は振り返る。特に労働時間管理には改善すべき点が多くあったという。当時、勤怠管理はExcelで行っており、一部の社員は勤務表の入力・提出のためだけに出社する必要があった。正確な勤怠情報をリアルタイムに把握することができないため、過重労働が発生するリスクもあったほか、法制度や社内制度が変更されるたびにExcelのマクロや関数を修正しなくてはならず、勤務表にバグが発生することもあったという。また毎月、1000枚を超える紙の勤務表の内容をチェックする必要もあり、給与計算などの負担も非常に大きかった。

「まずはいつでもどこでも勤怠入力できるクラウドサービスを導入して業務負担を減らすこと、そして月末に勤務表を印刷して承認するというプロセスを廃止し、リアルタイムで労働時間を確認できる状態にすることがシステム導入の一番の目的でした」と鈴木氏。複数の製品を比較検討するなかで、操作性の良さだけではなく、最新の法制度や社内規定に標準機能でフレキシブルに対応できるTeamSpiritに大きな魅力を感じたという。また事務担当者が手軽に必要なレポートを作成できることも導入の決め手となった。

働き方に関するあらゆる情報を「見える化」し、個人・組織が抱える小さな課題にも丁寧に向きあう。

現在同社は、労働時間・休暇の運用をすべてTeamSpiritで行っている。毎日の労働時間管理はもちろん、短時間勤務やテレワークの実態確認など、人事や現場部門が必要に応じてレポートを作成し運用しているという。

TeamSpiritを使用して管理しているものの一例

  • 労働時間管理
  • フルフレックスタイム制/コアタイム付きフレックスタイム制
  • 有給休暇(時間単位休を含む)
  • テレワーク勤務制度の管理
  • マタニティ休暇などの各種休暇制度
  • 産前産後休暇、育児休業の管理
  • 子の看護休暇
  • 母子健診休暇
  • 短時間勤務の実態管理

「TeamSpiritを導入したことで一人ひとりの労働時間や休暇取得状況がリアルタイムで『見える化』されるようになりました。そのため、長時間労働になりそうな社員がいた場合には、その上司や職場に注意を促し、課題にいち早く対応・是正することができるようになってきました。個人も組織も適正な労働時間や休暇取得などへの意識が高まったように感じています」と大島氏。勤怠管理から給与計算までの流れも非常にスムーズになり、給与担当者の負担も大幅に削減された。さらに承認ルートを業務に合わせて臨機応変に設定できるようになったことで、承認担当者の負担が軽くなるとともに透明性の高い内部統制を実現できているという。

総合人事部 マネージャー 社会保険労務士 大島周氏

また山田氏は「勤怠管理と工数管理が連動されているのも非常に便利」だと語る。工数管理では自分の所属するジョブのみが表示され、スライダーを使って作業の割合や時間を入力できるので、プロジェクトごとの原価管理をリアルタイムでより正確に実施できるようになった。

ワークライフバランスの充実や生産性の向上は、人事労務担当者や上司がその必要性を訴えるだけではとても実現できるものではない。さまざまな情報を「見える化」することで、個人や組織が抱える小さな課題を顕在化すること、「現状を改善するために何にどう取り組むべきなのか」という指標を示し、実行し、行動を振り返るというプロセスに組織全体で取り組むことが必要だ。同社が長年に渡ってさまざまな施策を実行し、着実に成果を残し続けてこられたのは、このような地道な努力で社員の意識を高めてきたからだろう。

総合人事部 スタッフ 社会保険労務士 山田幸子氏

社会の変化を味方に、個人がさらに個性を発揮して働くことのできる新たなステージへ

2020年のコロナ禍では、対策本部を立ち上げ、いち早くテレワークを導入。「本来は2020年4月にテレワーク制度を開始する予定でしたが、急遽1ヶ月前倒しで実施しました。既に勤怠管理や申請・承認業務をクラウド化する等、テレワークに適した環境を準備していたため、移行は非常にスムーズでした。また、テレワーク申請実績から在宅勤務手当・通勤者支援手当の支給ニーズを把握することも出来ました。」と鈴木氏は語る。

テレワークやフルフレックス制などフレキシブルに働く環境が整い、新時代に向けてさらなるステップアップを目指す同社は2021年に、2030年までの10年を見据えた経営ビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」を策定。クレスコ版ジョブ型制度もスタートし、今後は成果を重視しつつも柔軟なキャリアを考えられる環境を整えていく予定だ。

『CRESCO Group Ambition 2030』の取り組み

フルフレックスタイム制

健康増進手当

「適度な運動・休暇促進」や「非喫煙等の一定の健康増進に寄与する行動」をとる社員に一時金を支給

介護休業を最長1年間に延長

ボランティア休暇新設

パートナーシップ制度新設

同性パートナーを配偶者とみなし、社内規則(給付・休暇付与)を適用

新型コロナウィルスワクチン休暇

ワクチン接種当日及び翌日の休暇付与(有給、2回分計4日)

在宅勤務手当・通勤者支援手当の増額

2020年10月から在宅勤務手当 月6,000円、通勤者支援手当 月2,000円を支給していたが、それぞれ1,000円ずつ増額(在宅勤務手当 月7,000円、通勤者支援手当 月3,000円)

今後は『健康経営』にさらに力を入れ、すべての社員が心身ともに健康で、心から仕事を楽しみながら成果を出せるような施策を実施していきたいと思っています。その中ではやはり、働き方やスキルに関するさまざまな情報を収集し、多角的に分析することが不可欠です。データをもとに個人がより良い働き方や将来のキャリアを考え、行動するきっかけを作ることができたら、と思っています」と大島氏。

2020年度の男性社員の育児休業取得率は33%、出産・育児目的の特別休暇と合わせると取得率は63%にまで伸びた。厚生労働省発表の令和2年雇用動向調査では、情報通信業の離職率9.2% と発表されているなか、3.61%クレスコの離職率は低水準を継続している。今後は男女問わずさらに育児休業が取得できるように推進していくほか、育児に関わらず多様な人財が活躍できる職場形成やワークエンゲージメントを高めチャレンジを促進する施策も積極的に行いたいという。社会の変化に柔軟に向き合い、価値観をアップデートさせ続けてきた同社は、多様な人財活用とイノベーションを起こす力で、これからもIT業界のトップランナーとして走り続けていく構えである。

株式会社クレスコ

設立
1988年4月
事業内容
創立以来、IT基盤構築や、金融・流通分野のアプリケーション、家電製品等の組み込みソフトウエア開発を強みにしてきた独立系システムインテグレーター。人工知能、ロボット、センサー、データ分析などを加えた多様な技術領域を有し、幅広いITサービスを提供。
URL
https://www.cresco.co.jp/ja/index.html
取材年月
2021年11月