1. Home
  2. 導入事例
  3. 適正な手数料率を設定することが、権利者と利用者に対する責任。リアルタイムなプロジェクト原価管理で、付加価値の高いサービスを目指す。

一般社団法人日本音楽著作権協会 (JASRAC)

適正な手数料率を設定することが、権利者と利用者に対する責任。リアルタイムなプロジェクト原価管理で、付加価値の高いサービスを目指す。

事例ポイント

課題

  • 旧勤怠システムでは、データの不整合により締め作業に膨大な時間がかかっていた
  • Excelで工数管理をしており、リアルタイムにデータ活用することができなかった
  • 人事部のルーティーン業務の負担が高く、働き方改革に本格的に着手できずにいた

決め手

  • 勤怠と工数が統合しており、整合のとれた正確なデータを取得できる
  • ブラウザ上で簡単に出退勤打刻や工数入力ができる
  • プロジェクトの状況を一目で把握できる
  • プラットフォームのセキュリティや安定性に安心感がある

効果

  • 年間約330時間のルーティーン業務がほぼゼロになり、働き方改革等に着手できた
  • プロジェクトごとの原価をリアルタイムに算出できるようになった
  • 働き方の可視化により、業務改善をする職員が増えた
  • コロナ禍での時差出勤や在宅勤務にも混乱なく即座に対応できた

事例概要

機能 勤怠管理, 工数管理, 経費精算, 電子稟議, プロジェクト原価管理, 社内SNS, シフト管理, レポート・ダッシュボード
業種 その他
従業員数 500~999人
特徴 ペーパーレス・脱エクセル, テレワークなど多様な働き方の推進, データの見える化・分析, プロジェクト原価や利益の見える化, プロジェクト原価管理の効率化

2019年に創立80周年を迎えたJASRAC。「つなごう未来へ、世界へ。80年目の変革宣言」というビジョンのもと、従来の著作権管理事業をより付加価値の高いものへと変革していく構えである。JASRACは現在、2023年の完了を見据えた「デジタルトランスフォーメーションの推進」と「組織人事の見直し」に取り組んでいるデジタル活用によって業務を効率化し、創造的な仕事ができる環境を作る、一人ひとりの働き方を可視化し、事業の透明性とサービスの質を向上させる──これらの目的を実現するツールとして選んだのがTeamSpiritだ。

今回、人事部課長 福岡氏と企画部情報総合課 課長 水谷氏に、TeamSpiritを選んだ理由、またその活用方法について話を聞いた。

導入前の課題

ルーティーン業務の負担が重く、働き方改革に手が回らない状態に。

以前の勤怠管理システムでは、出退勤の時刻や勤務区分の入力にシステム的な制限を設けられず、 月末締めのタイミングでデータの不整合が大量に発生し、確認や修正の作業に膨大な時間がかかっていたという。

福岡氏は、当時の苦労について次のように振り返る。
「給与計算を正しく行うため、毎月全ての勤怠情報をシステムからエクスポートし、チェック用のExcelで不整合データをあぶり出していました。不整合データにはさまざまなパターンがあったため、一つひとつに関して人事部から各所属長に連絡し、確認と修正をお願いしていました。この作業だけで丸2日もかかっていました」

人事部 課長 福岡孝仁氏

全国14か所の支部で働く派遣スタッフの勤怠情報については、統合管理ツールがなく、各支部長が毎月Excelで勤務状況のサマリーを作成し、人事部に送ってきていたという。しかしながら、期限までにサマリーが出揃わないこともあり、支部長への連絡、また内容確認にも時間を取られていた。

人事制度改革、有給休暇の取得促進など人事としてやるべき仕事はたくさんありましたが、ルーティーン業務の負担が非常に重く、思うように進められないことに大きな課題を感じていました」(福岡氏)

適正な管理手数料率を設定するため、リアルタイムで分析できる工数管理ツールが必要だった。

もうひとつの課題が工数管理である。JASRACは、音楽利用者が支払う著作物使用料から事業運営の実費に基づく管理手数料を控除し、権利者へと分配している。
常に業務を見直して無駄なコストは省き、適正な管理手数料率を設定することが、音楽を作る方、利用される方への責任だと考えています」と語る水谷氏。

企画部 情報総合課 課長 水谷英彦氏

権利者の利益と音楽利用者の利便性。この二つを守るために、JASRACは非常にシビアな原価意識をもって事業に取り組んでいる

管理手数料は、コンサート・店舗での利用・ネット配信など、音楽の利用分野によって料率が異なる。なぜなら利用分野によって、管理方法とそれに伴う費用が変わるからだ。例えば店舗での音楽利用にきめ細かに対応するには、各支部の職員が現場に赴く必要がある。事業運営費用における人件費の割合は非常に高く、正確な工数情報の把握が必要不可欠だ。

以前は工数情報をExcelで管理していましたが、全部署分のファイル数は600を超えており、定期的に行う回収・集計だけで3日、データの確認と修正に3日かかっていました。工数情報と勤務時間の整合性がないこともあるため、その確認も大変でした。このような状況では、工数情報をもとに現状を分析して、即座に対応したり業務を改善したりすることは困難な状況でした」と水谷氏は語る。

導入の決め手

誰もが手軽に工数を入力でき、プロジェクトの状況を一目で把握できることが導入の決め手に。

価値のあるデータ分析を行うためには、職員一人ひとりの勤怠・工数を、毎日正確に把握できるようにしなければならない。TeamSpiritはWebブラウザ上で簡単に出退勤の打刻ができ、業務内容ごとの工数もスライダーバーを使って手軽に入力できる。 「これなら職員も抵抗なく行ってくれるのではないかと感じました」と福岡氏は語る。
勤怠管理と工数管理が統合されており、整合性のとれた正確なデータが日々蓄積されていくというのも大きな魅力だったという。

音楽の利用分野ごとに異なる管理手数料率を設定しているJASRACでは、各利用分野を一つのプロジェクトとみなして原価管理を行っているため、常に20件程度のプロジェクトが1年がかりで同時進行している形になる。TeamSpiritのダッシュボード機能を使えば、誰がどのプロジェクトに関わり、どの業務に何時間要したのかを、リアルタイムで見ることができる
プロジェクトごとの業務の実態に基づいた正確な原価を算出し、適正な管理手数料率の設定へとつなげる。この目標を達成できるツールだと強く感じました」と水谷氏。

実績のあるSalesforceのプラットフォームを基盤としており、セキュリティや安定性の面で安心感があったことも、大きな決め手となった。

導入効果

時間の使い方や組織内のコミュニケーションに変化が生まれはじめた。

TeamSpiritの導入をきっかけに職員の働き方に変化が見られるようになった、という福岡氏。 「自分やチームメンバーの時間の使い方が可視化されたことで、自主的に業務を見直す人が増えたように思います。管理職も、効率的な時間の使い方を部下にアドバイスするなど、組織内のコミュニケーションが活発になると同時に、より本質的なマネジメント業務ができるようになってきました」(福岡氏)

人事部と企画部情報総合課が行っていたルーティーン業務の負荷も劇的に軽減した。勤怠の締め処理と・工数情報の集計作業にかかっていた年間約330時間ががほぼゼロになり、それによって、新たな人事制度の構築など一歩先の仕事ができるようになったという。
長時間働く人が評価されるのではなく、仕事の中身で評価する。育児や介護をしている人も変わらずに活躍でき、休暇もしっかりと取ることができる。真の働き方改革への一歩を踏み出すことができたようにも感じています」と福岡氏は笑顔を見せる。

リアルタイムなデータ活用で、社会の変化にも迅速に対応する。

コロナ禍で、改めてTeamSpiritの便利さを実感している、という水谷氏。
時差出勤や在宅勤務に必要な機能はすでにTeamSpiritに揃っていたので、2020年4月の緊急事態宣言にも混乱なく即座に対応することができました」と語る。

新型コロナウィルスは、音楽業界にも大きな影響を与えた。コンサートが中止になり、飲食店やカラオケボックスが次々に休業する一方、インターネットによる配信分野での音楽利用は一気に増加した。日々状況が変化するなか、JASRACも迅速な対応が求められたが、TeamSpiritで部署にとらわれない柔軟な業務の割り当てもスムーズに行うことができたという。TeamSpiritのプロジェクト原価管理機能があれば、流動的な業務体制でも正確な工数情報を把握することが可能だ。

残業時間、有給取得状況、工数情報の内訳、在宅勤務状況などダッシュボードで可視化

JASRACの著作権管理事業の適正な運営は、TeamSpiritの工数管理によって支えられていると言っても過言ではありません」と語る水谷氏。

変化が激しく将来の予想がより困難な状況ではあるが、TeamSpiritのおかげで原価はよりリアルタイムに把握できるようになりました」「管理手数料率の見直しは基本的に年に一度ですが、今後はたとえ期中であっても権利者にメリットのある形で管理手数料率を柔軟に見直せる体制を整えていきたい」という。

最近では経営陣からも、ダッシュボードで見たい情報について、日々要望が寄せられるようになった。

「信託財産の安定的な管理を確保する必要から、細かいところまでしっかり決めてから運用するという企業文化があります。TeamSpiritを導入してからは、社会の変化に柔軟に対応するために、やりながら変えていこうという流れが生じてきました未来の変革のためのデータ分析も増えています。現場の職員を含め、組織全体が新しいことを前向きに捉える姿勢を持つことが重要ではないかと感じています」と水谷氏。 JASRACは、ブロックチェーンやAIなどの先進技術の積極的な活用に向けた取り組みも継続している。音楽文化の発展を支える存在として、志高く、時代の変化に向き合い続けている。

一般社団法人日本音楽著作権協会 (JASRAC)

設立
1939年11月
事業内容
音楽の著作物の著作権に関する管理事業、
音楽著作物に関する外国著作権管理団体等との連絡及び著作権の相互保護、
私的録音録画補償金に関する事業、
著作権思想の普及事業、
音楽著作権に関する調査研究、
音楽文化の振興に資する事業
URL
https://www.jasrac.or.jp/index.html
取材年月
2020年10月