プロジェクト型ビジネスとは|進め方や課題、管理のポイント
著者:チームスピリット編集部
IT業や広告業など、案件ごとにプロジェクトを立ち上げる「プロジェクト型ビジネス」には、特有の課題や進め方のポイントがあります。
プロジェクトのマネジメントにおいて特に重要なのは「プロジェクトの収支を「見える化」すること」です。原価管理を適切に行うことではじめて、プロジェクトを安定的に管理できるようになるのです。
本記事では、プロジェクト型ビジネスの定義をはじめ、適切な進め方や管理すべき項目の内容・管理方法について解説します。
プロジェクト型ビジネスにおける原価の考え方や、原価を適切に把握する方法などの具体的なポイントも解説しているので、ぜひプロジェクトを円滑に進めるためのヒントとして活用してみてください。
【適切なアプローチでプロジェクトの利益率が上がるコスト管理の方法!】
- 従業員や案件の増加により、どの社員がどのプロジェクトにどれくらいの時間をかけたのか把握するのが困難
- 赤字がでてしまっており現状を打破したいが、どうすれば良いのかわからない
- IPOを目指しているが正確な利益の算出はおろか、コンプライアンス遵守もままならない働き方に苦しんでいる
プロジェクト型ビジネスでは原価を把握し適切なタイミングで状況に応じた打ち手をすることが大事です。
本資料では、実際に管理会計をしっかりしたことでプロジェクト時間の短縮と収益率を向上させた方法をおまとめしております。
プロジェクトの利益率を向上させたい方は是非ご一読くださいませ。
目次
プロジェクト型ビジネスとは
プロジェクト型ビジネスとは、案件やクライアントからのオーダーごとに商品やサービスを提供するタイプのビジネスのことです。案件や契約といった「プロジェクト」単位で業務を遂行し、収支やリソース管理、進捗管理もプロジェクト単位で行います。
※モノを売らず稼働(サービス提供)の対価として報酬が発生する事業を「フィービジネス」と呼ぶこともあります。
プロジェクト型ビジネスならではの特徴として、原価の大部分が「労務費」(作業担当者の人件費)となる点が挙げられます。そのため、プロジェクトの収益性を高めるには、原価(労務費)を正確に管理することが重要です。
なおプロジェクト型ではない業態には、大量生産を行う製造業や小売業、企業のなかで統一されたサービスを提供する飲食業・通信業などのサービス業があてはまります。
プロジェクト型ビジネスの業種や具体例
実際にプロジェクト型ビジネスを採用することが多い業種には、どのようなものがあるのでしょうか?プロジェクト型ビジネスを採用している業種の代表例を紹介します。
- IT業
- 広告業
- コンサルティング業
- クリエイティブ業
基本的にはどの業種においても、プロジェクトマネージャーにあたるメンバーがプロジェクト全体の管理を行い、各業務の実行をチームメンバーが担います。一つのプロジェクトを成功させるために、役割分担をしてそれぞれの業務を進めていきます。
業種ごとに具体的な事業内容やプロジェクトの進め方、原価についての考え方を見てみましょう。
IT業
システムの構築や開発、保守などを行う業種です。具体的には以下のような業務を行います。
- ソフトウェア開発
- アプリケーション開発
- システムインテグレーター
- SaaS・ASPサービス開発・提供
- システム構築・保守
他
例えばソフトウェア開発では、クライアントからの要望をヒアリングし、要件定義、設計、開発、テスト、納品、保守・運用といった流れでプロジェクトを進めていきます。プロジェクトマネージャーが全体の進捗管理・リソース管理などを行い、エンジニアやデザイナーが設計や開発などを担います。
IT業における原価の大部分は「労務費」「外注費」「経費」となることが多く、収支を適切に把握するためには正確な工数管理が必要です。
広告業
広告業とは、クライアントからの依頼のもと、製品やサービスの魅力を広く伝えたり、売り上げを伸ばしたりするための企画・制作を行う業種です。
広告を掲載する媒体は、テレビやインターネット、紙面など様々なものがあります。以下のような事業内容が広告業に当てはまります。
- 広告代理
- 広告制作
- イベント企画・制作
他
例えば広告代理業の場合、クライアントからの依頼をもとに、プロデューサーやプランナーといった企画職がマーケティング分析や広告戦略の方針決定・企画立案などを行います。
クライアントとの協議を重ねて具体的な広告の内容が決定したら、制作会社に委託する形で広告制作が進められます。広告制作にあたっては、映像部門やグラフィック部門などの各部門に配置されたディレクターが指揮監督を行いながら、デザイナーやコピーライターといったクリエイターが作業を担当します。
広告業における原価は、主に「媒体費用」「労務費」「外注費」「経費」です。
コンサルティング業
コンサルティング業とは、経営やITなど特定の領域に課題を抱えている企業の課題解決を支援する業種です。
- IT・業務コンサルティング
- シンクタンク
- 戦略系コンサルティング
- 監査法人
他
コンサルティング業は、あらゆる業種のクライアントからの依頼を受けることでプロジェクトがスタートします。コンサルタントは、クライアントとの話し合いや情報提供を通じて市場や業務の分析を行い、課題の解決へと導きます。その過程で、実行が必要な部分をメンバーに任せることもあります。
コンサルティング業における原価の大半は、コンサルタントや実行メンバーの「労務費」です。複数の案件を担当する場合も多いため、複数プロジェクトの工数を同時並行的に管理する必要があります。
クリエイティブ業
クリエイティブ業は、様々な分野の創作を請け負う業種です。
- 映像制作
- Web制作
- ゲーム制作
- デザイン制作
他
例えば映像制作業の場合、クライアントから依頼を受けたのち、ヒアリングと企画立案、撮影・制作、編集の流れでプロジェクトが進められます。
なお、映像制作における「企画」とは、シナリオや絵コンテ制作、担当者の配置や役者を起用する場合のキャスティングなどの作業を指します。撮影・制作・編集では、カメラマンによる撮影や録音、CGや音楽の制作などを行い、編集のうえ納品します。
クライアントとのコミュニケーションや企画立案はプロデューサーが担当し、制作指揮はディレクター、実際の制作作業はカメラマンやデザイナーが行う方法が一般的です。
クリエイティブ業における原価の大部分は、上記メンバーの「労務費」や「経費」です。
プロジェクト型ビジネスの特徴
プロジェクト型ビジネスならではの特徴としては、以下の要素が挙げられます。
- プロジェクトごとに進捗・工数・原価などの管理が必要
- 案件完了までに時間がかかるケースが多い
それぞれの内容について詳細を確認していきましょう。
プロジェクトごとに進捗・工数・原価などの管理が必要
プロジェクト型ビジネスでは、案件ごとに以下の情報を管理して進めていく必要があります。
- 予実管理
- 進捗管理(工程管理)
- リソース管理
- 原価管理(収支管理)
- 工数管理
- 外部との契約管理
他
例えば原価(収支)計算を行うには、作業メンバーの工数をもとにした労務費の計算が必要になるなど、各管理項目は相互に影響し合っています。赤字プロジェクトを発生させないためには、それぞれの項目をリアルタイムで把握・管理しつつ、状況に応じて軌道修正を図っていく必要があります。
このようにプロジェクト型ビジネスにおいては多くの情報を同時並行で管理する必要があるため、複数の情報を一元管理できるシステムを使うことが望ましいとされています。
なお、上記のうち特に重要な管理項目である「進捗管理(工程管理)」「リソース管理」「原価管理(収支管理)」「工数管理」に関しては、「プロジェクト型ビジネスの管理方法」の章で個別に管理方法の詳細を解説します。
案件完了までに時間がかかるケースが多い
プロジェクト型ビジネスの特徴として、案件のスタートからゴールまでが長期にわたるケースが多い点が挙げられます。長いと半年から1年近く一つのプロジェクトが続くこともあるため、先の収支を見越した予算計画が必要です。
長期間のスケジュールを確保・管理しなくてはならないため、プロジェクト開始前に行う「工数の見積もり」や「予算計画」の精度を上げることが重要になります。過去のプロジェクトのデータを蓄積させることで、見積もりや計画の精度向上につながります。
プロジェクト型ビジネスの進め方
プロジェクト型ビジネスは、クライアントからオーダーを受けるところからスタートします。案件が立ち上がってからは、以下の流れで業務が進められます。
- プロジェクトの目標利益や原価などの予算を設定する
- リソースを割り振る
- 実作業を開始する
- 経過の把握と分析を行う
- 必要に応じて軌道修正を行う
- 成果物の納品と評価
1.プロジェクトの目標利益や原価などの予算を設定する
プロジェクトの計画を立てるフェーズです。プロジェクトにかかる原価と各タスクの期日、また目標とする利益を設定します。
プロジェクトを黒字化するためには、正確な原価の把握が不可欠です。WBSを使ってプロジェクトに含まれるタスクを最小単位まで洗い出し、タスクごとに誰がどのくらいの時間をかけて作業するか(工数)を設定していきましょう。WBSとは、プロジェクトを構成するタスクを大きな単位から小さな単位に階層別に分けたものを指します。
抜け漏れがないようにタスクを洗い出し、それぞれのタスクに対して正確に工数を見積もることで、精度の高い原価予測を立てられるようになります。
予算や工数は似たような過去のプロジェクトの実績などを参考にベースを定め、案件ごとに調整していきます。
2.リソースを割り振る
確保すべき利益や想定される原価を洗い出せたら、プロジェクトに必要なリソース(ヒト・モノ)を調整します。プロジェクトの達成に必要なスキルを持ったメンバーを選定し、プロジェクトチームを構築しましょう。
このとき、メンバーごとの人件費やスキル、稼働可能時間などを考慮し、誰にどのタスクをどの程度割り振るかを考えながらアサインしていきます。
チームのバランスやコミュニケーションの取りやすさなどを考え、チーム全員が円滑に業務に携われるような環境を準備することが大切です。
3.実作業を開始する
プロジェクトの実作業を開始します。WBSで洗い出したタスクを各担当者が設定したスケジュールに沿って消化し、進捗を管理していきます。
進捗管理には下図のような工程管理表(ガントチャート)を用いると、タスクごとのステータスをひと目で視認できます。
工程管理表とは、縦軸にプロジェクトのタスクを、横軸に作業期間を割り当てた表のことです。タスクの作業期間を横棒の長さで表し、タスクごとのスケジュールを一覧で管理します。この表に各担当者が作業開始日や完了日を入力することで、進捗を記録していきます。
▼工程管理表(ガントチャート)のイメージ図
※実際にはこれらの表は一つの画面で繋がっています。左にタスクを、右に進捗を表示させることが可能です。
また、進捗管理とあわせて工数管理も実施します。誰がどのタスクにどのくらいの時間をかけたかという工数の情報は、「労務費」を把握する際に不可欠な情報だからです。工数は可能な限りリアルタイムで入力し、正確に記録していきましょう。
4.経過の把握と分析を行う
プロジェクトマネージャーは定期的に予実や工数の現状を確認し、課題の分析を行います。プロジェクトに課題が潜んでいるかどうかは、以下の二つの視点で分析するとよいでしょう。
- スケジュールが想定通りか
- 原価割れが発生していないか、またはその予兆がないか
スケジュールに関しては、工程管理表をチェックしてステータスと期日を照らし合わせることで遅延がないかの確認を行います。プロジェクトマネージャーは各タスクの期日を把握し、期日前からメンバーの状況をチェックしておくことが大切です。
また原価割れが発生していないかどうかは、各メンバーの工数をこまめにチェックすることで確認します。例えば「1人日2万円」の従業員に10人日で終わるタスクを割り当てていたとします。仮に8人日時点でタスク全体の40%しか進んでいないとすると、10人日で作業が終わらないことがほぼ確定しているので、当初タスクに対して見積もっていた原価を大幅に超過しそうだとわかります。
進捗が芳しくないメンバーがいたら個別に話を聞くなど、メンバーともコミュニケーションを密に取りながら、多角的に現状を把握しましょう。
5.必要に応じて軌道修正を行う
分析の結果プロジェクトに赤字転落の予兆が見られた場合は、早急に軌道修正の対策を策定・実行します。また、メンバーの体調不良や急な要件変更などがあった場合も、蓄積してきた予実や工数のデータをもとに対策を行いましょう。
軌道修正やトラブル対応をスムーズに実施するためには、普段から予実や工数のデータをオープンにしておくことが大切です。目標までの進捗や周囲のメンバーの様子を把握しやすい環境にしておけば、課題に対し迅速に対応できるようになります。
6.成果物の納品と評価
プロジェクトが完了したら、最終的な採算を分析し、当初の見積もり通りに進められたかなど多角的な視点からプロジェクトの評価を行います。
黒字の場合も赤字の場合も要因を分析してノウハウを残し、次回以降のプロジェクトに活かすことが大切です。
プロジェクト型ビジネスを進める上での課題
プロジェクト型ビジネスでは、原価計算や工数管理が煩雑になりやすいという課題があります。以下の課題を認識し、必要に応じてデジタルツールを使用した課題解決を行うことが必要です。
原価(収支)計算の課題
プロジェクトの原価(収支)計算において把握しておきたい課題は以下のとおりです。
- 原価の内訳の把握が難しいこと
- どの原価がどのプロジェクトに結びついているか確認しにくいこと
- 労務費の算出には正確な工数管理が必要になること
プロジェクトの原価は、プロジェクトに直接紐づく「直接費(労務費、外注費、経費)」と、直接紐づかない「間接費(事務所の光熱費、備品費用など)」に分かれます。
どの原価がどのプロジェクトに結びついているかはあいまいになるケースも多いため、プロジェクト単位の原価計算は煩雑になりがちです。
例えばプロジェクト原価の大部分は、プロジェクトに携わる従業員の人件費、すなわち「直接労務費」です。直接労務費を正確に把握するのは、以下の理由から難しい作業と言えます。
- 時間単価や作業スピード(スキル)が異なる従業員一人ひとりの労務費を算出する必要がある
- 労務費を算出するには、各従業員がどの作業にどのくらいの時間を使ったか(工数)を把握しないといけない
- 複数のプロジェクトが同時並行で進んでいる場合、それぞれのプロジェクトについて労務費を管理しなくてはいけない
従業員一人ひとりの工数管理だけでなく、複数プロジェクトの管理も同時並行的に行わなければならないため、気づいたら赤字になっていたという事態も起こりえるのです。労務費は日々の作業工数によって簡単に変動するため、リアルタイムで工数の管理を行う必要があります。
また間接費に関しては、算出するために「配賦」という按分計算が必要になることもあり、リアルタイムで数値を把握するのが特に難しい科目です。
間接費とは?概要や分類をわかりやすく解説!直接費との違いや削減方法
工数管理に関する課題
プロジェクトの工数管理において把握しておきたい課題は「形骸化しやすい」という点です。
上記のとおりプロジェクトの原価管理には労務費の把握が必要不可欠であり、労務費を把握するためにはメンバーの「工数管理」が必須となります。ただし以下の理由から、工数管理を行うには多くの課題があることを認識しておかなければなりません。
- 複数のプロジェクトを掛け持つ場合、工数入力が煩雑になりやすい
- プロジェクトの作業に追われて工数入力が後回しになり、数値の正確性がそこなわれやすい
- エクセル(Excel)や自社独自のシステムで工数管理をしていると、工数と勤怠の整合性を確認するのが困難
- Googleカレンダーに入力した作業内容を見ながら工数を登録するなど、同じような内容を再度入力する手間が発生する
工数管理の形骸化を防ぐには、工数管理専用のツールを活用して、適切な手順で管理を行う必要があります。次章で解説する手順やツールを参考に、工数を正確に把握できる環境を整備しましょう。
プロジェクト型ビジネスの管理方法
プロジェクト型ビジネスにおいて実施する必要がある各種項目の管理方法について、個別に解説していきます。プロジェクト型ビジネスを成功させるには、以下のような管理作業が重要です。
- 進捗管理(工程管理)
- リソース管理
- 原価管理(収支管理)
- 工数管理
なお繰り返しになりますが「進捗管理」や「リソース管理」「原価管理」を徹底するためには、大前提として正確な工数管理が求められます。
どの作業にどのくらい時間をかけているか、という工数の情報はスケジュール進行の管理に直結しますし、プロジェクトごとの作業時間を把握することは労務費(原価)の計算に不可欠だからです。
それでは、各管理作業の方法やポイントについて具体的に確認していきましょう。
1.進捗管理(工程管理)
プロジェクトのスケジュールや進捗を管理する作業です。工数見積もりの内容をもとに、各作業の進捗や期日までの日数、メンバーの稼働状況を確認します。
進捗管理は、以下の手順で進めていきましょう。
- 工数見積もりの内容をもとにプロジェクトの作業を細分化して、WBSやガントチャート(工程表)を作成する
- 工程表の計画に従って、プロジェクトを遂行する
- 定期的に進捗を確認・分析する
- 必要に応じて、工程に改善を加える
2.リソース管理
従業員の稼働状況・空き状況を把握、管理する作業です。「どの従業員が現在どのプロジェクトに携わっていて、なんの作業を担当しているか」、また「各従業員の余裕はどの程度あるのか」といった情報を管理します。
※ここでは主に人的リソースの観点で話を進めます。
リソース管理は以下の手順で行います。
- プロジェクトに必要なリソースを見積もる
- 現時点のリソースを把握し、不足がないかチェックする
- プロジェクトにリソースを割り当てる
- プロジェクトの実行中にリソースの状況を確認し、不足があれば再配分などの対策を行う
リソース管理を適切に行うことで、以下のメリットが期待できます。
- メンバーの空き状況をリアルタイムで可視化でき、誰にどんな業務を振るのかといった調整がやりやすくなる
- プロジェクトにおける目標利益率を達成するために、現時点でかかっている工数を確認し、原価をコントロールできる
- 従業員にかかるコストが無駄にならないよう、プロジェクトへのアサイン率を確認しながらプロジェクトの受注量を調整できる
3.原価管理(収支管理)
プロジェクトに紐づく原価を内訳ごとに管理し、分析する作業です。プロジェクト型ビジネスにおいて、原価管理は以下の手順で進められます。
- 標準原価(理想とするコスト)を計算する
- 直接費と間接費の配賦基準を決める
- プロジェクトを開始し、作業担当者が日々工数を入力する
- 実際原価を計算する
- 標準原価と実際原価の差異分析を行い、業務改善などを行う
▼原価管理のイメージ
※「プロジェクトごと・月ごとにどれくらいの原価がかかっているのか」「それは予定に対してどの程度乖離があるのか」がひと目で分かります。
原価管理の手順については、こちらの記事でも詳細を解説しています。
プロジェクトの原価情報は進行中のプロジェクトの軌道修正に活用できるだけでなく、今後立ち上がる新しいプロジェクトの単価や原価設定に応用することも可能です。
そして上記の流れで収集した原価管理のデータは、決算資料の作成など財務会計目的でも使用することになります。
4.工数管理
ここまでに紹介した管理を行うには、大前提として従業員の工数を正しく管理する必要があります。
工数管理とは、ある業務を行うのにかかる時間×作業人数(=工数)を定量的に管理することです。つまり、誰がどの業務をどれくらいの時間をかけて行っているのかを可視化する作業を指します。
工数管理を行うことで、例えば「時間単価2,000円の従業員が、業務を10人日かけて行っているため、現時点で16万円分の原価がかかっている」といったことがわかるようになります。
工数管理は、以下の手順で進めます。
- プロジェクトマネージャーを中心に、工数を見積もる
- プロジェクトを開始し、作業担当者が日々の工数を入力する
- マネージャーが工数を集計して分析する
工数管理全体の手順について詳細を確認したい場合は、以下の記事も参考にしてください。
工数管理とは?目的やメリットから始め方・活用事例まで徹底解説
なお工数の集計や分析には、一般的に「工数管理ツール」を使用します。例えば、プロジェクト型ビジネス向けの工数管理ツール「チムスピ工数」では、工数管理に関して以下の機能が使えます。
- 勤怠管理機能と組み合わせれば、リアルタイムで勤怠と工数の整合性を確認できる
- 勤務時間をベースに、作業の割合をスライダーで指定することで工数を按分できる
- カレンダーアプリを同一画面に表示させて工数入力ができる
▼「チムスピ工数」の工数入力画面
以下の記事では、プロジェクトの進捗管理や原価計算におすすめの工数管理ツールを紹介しています。
工数管理ツールのおすすめ8選を一覧比較|機能や費用を確認しよう
まとめ|プロジェクト型ビジネスで利益を上げるためには、工数管理を適切に実施して原価を把握しよう
プロジェクト型ビジネスとは、案件やオーダーごとに収支や進捗を管理する事業形態のことです。
赤字化を防ぎプロジェクトを円滑に進行させるためには、プロジェクトごとに複数の管理項目を把握・分析しながら進めていかなくてはなりません。そのためプロジェクト管理専用のツールなどをうまく活用しつつ、管理や分析の精度を上げることが求められます。
特に「進捗管理(工程管理)」「リソース管理」「原価管理(収支管理)」「工数管理」の4つは、プロジェクトの利益率を高め、効率よく事業を回す上で欠かせない管理項目です。
工程表の作成や原価計算の基礎となる「工数管理」を中心に、自社のプロジェクト管理体制に課題がないか見直してみてはいかがでしょうか。プロジェクトの工数管理がうまくいっていないと感じている場合は、正確な工数入力をサポートする専用ツールの導入も検討してみましょう。
システム開発業・IT業などプロジェクト型ビジネス企業に最適!
勤怠と工数の管理が一つになったシステムをお探しの方へ
- 勤怠管理と工数管理がバラバラで、労務費の集計に手間がかかっている
- IPOを見据え、残業や有給消化の把握など適切な労務管理が求められている
- 工数超過に気付けず、赤字プロジェクトが発生している
- 業務内容を可視化して生産性の向上を図りたい
このようなお悩みをお持ちでしたら、勤怠と工数を1つのシステムにまとめて、高度な労務管理と正確な個別原価管理を実現できる「チムスピ勤怠」がおすすめです。
解決できる課題や運用イメージなどを具体的にまとめた導入事例集をご用意しました。ぜひ一度ダウンロードし、他社との比較検討にお役立てください。
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