工数管理は意味がない?無駄・面倒と感じる理由と解決策
著者:チームスピリット編集部
「工数管理が業務を圧迫している」「プロジェクト改善に活かせず、やっても意味がない」。社内でそんな声が上がっている企業も多いのではないでしょうか。
本来、工数管理は生産性の向上に役立つ作業のはずですが、以下のような悪循環に陥り、意味がないと感じる企業も少なくありません。
- 毎日(その都度)の工数入力が面倒に感じる
- そのため「月末にまとめて入力する」といったことが起こり、正確なデータを得られない
- その結果、工数管理をプロジェクトの分析や改善に活かせず、意味がないと感じてしまっている
本記事では、「工数管理には意味がない」と言われている理由や背景、そして工数管理をやめた場合のデメリットなどについて解説していきます。
また、現在生じている工数管理の無駄を解消し、プロジェクトの改善につなげるための方法も紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
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- 工数管理が従業員の負荷を高めている
- 工数の一括登録が常態化し精緻な原価管理ができていない
- リアルタイムにプロジェクトの予実管理ができていない
工数管理に課題を抱える企業様は多いものの、既存の方法を脱せず応急措置的な業務改善を繰り返しているケースが見受けられます。
ぜひ同様の課題を抱えていた他社事例を参考に、自社の抜本的な業務改善や正確な工数管理の実現の一助としてお役立てください。
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工数管理は無意味ではない!プロジェクトの原価や利益の把握に必要
工数管理は本来、「意味のないもの」ではなく、会社の利益を把握するための重要な手段です。
工数管理で「見える化」ができるのは、プロジェクトや製造の「コスト」と「スケジュール」です。入力したデータを分析・共有することで、生産性の向上にも活用できます。
工数管理を行うメリット
工数管理を正しく行うことで、どのようなメリットがあるのかを具体的に見ていきましょう。
- プロジェクトごとに利益が最大化するよう、正しいリソース投入ができるようになる
- プロジェクトの進捗を管理し、遅延を防止できる
- ボトルネックを特定し、改善することで生産性を上げられる
- 正当かつ公平な人事評価を行う際のデータとなる
- 社員の生産性やモチベーションが上がる
- 根拠のある見積もり作成に役立つ
工数管理を行えばプロジェクトにかかるコスト(人件費)を算出できるだけでなく、どの人材の生産性が高かったか、どの業務フェーズにボトルネックや改善の余地があるかなどの情報も分かるようになります。そのため、各プロジェクトに適切な納期やコストを無駄なく設定できるようになり、業務効率を上げることが可能です。
このように経営に大きなメリットをもたらす工数管理ですが、実は従業員にとっても多くのメリットがあります。
工数管理の実績を社員に共有すれば、働き方改善のきっかけとしても活用できるのです。例えば1つのプロジェクトにかかる工数や時間が分かっていれば、それをもとに見積もりを作成したり、無理のないスケジュールを組んだりすることができます。
工数管理ができていれば、生産性の高い社員が公平に評価されることにもつながるでしょう。
工数管理を正しく行わないと(やめると)どのような問題が発生するのか
逆に、工数管理を正しく行わないと(やめると)、以下のような弊害が起こる可能性があります。
- 適切なコスト管理ができず、赤字のプロジェクトが放置されてしまう
- スケジュールをうまく組み立てることができず、業務が遅延してしまう
- 見積もりの正確性が欠け、顧客からの信頼を得づらくなる
- 生産性の高い社員が正しく評価されず、不満感が募る
いずれも、経営層だけではなく従業員にとっても大きなマイナスになるものばかりなので、安易に工数管理を廃止することは避けた方が良いでしょう。
特に「労務費」の割合が大きい以下のような業種は工数管理がとりわけ有効なので、やめた時の弊害も大きくなる可能性が高いです。
▼工数管理がプロジェクトの改善につながりやすい業種
- プロジェクト単位で業務を行う業種(システム開発・IT業、広告業など)
- 受注生産する業種(製造業、建設業など)
- 専門知識を有する人材が資本となる業種(士業、コンサルティング業など)
これらの業種は、従業員の稼働時間が直接利益に影響するからです。
従業員の稼働時間は工数管理によって初めて「見える化」できます。そのため、工数管理をしないことには正確な原価を把握するのが難しく、利益率が不透明になってしまいます。
そのため「意味のない工数管理をやめること」ではなく「工数管理を意味のあるものにすること」が重要です。
工数管理が無駄だという意見が出ている場合は、現状の運用方法に問題がないかを見直す必要があります。
工数管理を行うことにデメリットはあるのか
工数管理自体にはデメリットは存在せず、むしろ「利益の把握」に不可欠です。ただ、実際の運用においてはいくつかの課題が発生することがあります。
チームスピリットの調査によるアンケート結果によると、工数管理の運用においては以下のような意見や不満が多いことがわかります。
- 工数管理を推進する担当者のリソース不足(52.7%)
- 運用体制やルールの策定が難しい(50.0%)
- 従業員が毎日工数情報を入力してくれない(40.9%)
※引用:工数管理の実態調査~生産性向上の秘訣~|チームスピリット
正しい工数管理を行うことは重要ですが、工数管理の手間が過度にかかり作業負担が増えてしまうと、従業員が「無駄」「面倒」などと感じ、従業員のモチベーション低下を招く可能性もあるのです。
工数管理を「意味がない」「無駄」などと感じてしまう理由について、次の章で具体的に解説していきます。
本来必要な工数管理を「意味がない」「無駄」「時代遅れ」と感じる理由とは?
ここまで解説してきたように、工数管理はプロジェクト型ビジネスで成果を最大化させるために、非常に重要な作業です。それにもかかわらず「工数管理は意味がない」「無駄だ」と感じてしまうのはなぜでしょうか。
よく伺うのは、次のような理由です。
- 工数を毎回入力するのが面倒だと感じた社員が、月末にまとめて工数入力を行っている
- そのため、結局正確な工数が集計できず、プロジェクト管理に活かすことができない
- 結果的に、マネジメント層も社員も「工数管理は意味がない」と感じてしまう
それぞれの理由を、詳しく解説していきます。
1.工数を毎回入力するのが面倒だと感じた社員が、月末にまとめて工数入力を行っている
以下のようなケースでは、社員が工数入力を面倒だと感じてしまいがちです。
- 勤怠管理、スケジュール管理、工数管理を別々のツールで運用している
- エクセルなど、分析や集計に手間のかかるツールを使用している
- システムにログインする際、毎回VPN接続(特定のユーザーのみが利用できるネットワークへの接続)を求められる
- 工数管理のためのミーティングや報告が多く、社員に過度な作業負担がかかっている
- 工数管理の目的やデータが社員に共有されておらず、メリットを感じられない
例えば勤怠管理・スケジュール管理・工数管理を全て別のツールで運用している企業だと、社員の工数入力は次のような状態になっています。
- 工数入力のために勤怠管理やスケジュール管理のツールをそれぞれ別ウィンドウで開く
- スケジュール管理ツールに入力した作業工程を確認しながら、工数管理の実績を入力する
- 勤怠管理システムに入力した勤務時間と照らし合わせながら、工数管理の作業時間を調整する
工数入力のために、スケジュール管理ツールや勤怠管理システムを行ったり来たりしながら同じ内容を入力しなくてはいけない状態になっているのです。これをこまめに何度も行わなければいけないので「面倒」という声が上がるのも当然かもしれません。
こういった理由から、社員が工数入力を月末にまとめて行う事態に発展してしまうのです。
2.結局正確な工数が集計できず、プロジェクト管理に活かすことができない
以上の理由から、「社員が月末にまとめて工数入力を行う」あるいは「作業工程ごとの工数入力を行っていない」といった問題が起こりがちです。
当然そのように入力された工数データは正確な内容とは言えないので、工数データを実務に活かすことができず、赤字のプロジェクトが発生したり、スケジュールに遅延が発生したりする可能性が高くなります。
またチームスピリットが行ったアンケートによる調査から「勤務先の工数管理の満足度が低い理由」として、以下の意見が上げられています。
※引用:工数管理の実態調査~生産性向上の秘訣~|チームスピリット
特に「勤怠情報とデータの付け合わせが難しい」の回答が多く、せっかく収集した工数の情報を有効活用できていないことが伺えます。勤怠情報との整合性がとれた正確な工数を把握できないために、工数管理の満足度が低下していると考えることができるのです。
すると、社員もマネジメント層も「工数管理をやっても有効なデータが得られず、意味がない」という認識に至ってしまうケースが多いのです。
社員の不満を解消し、工数管理を適切に行うための解決策
前章で説明した「社員が工数をこまめに入力してくれない」「その結果、工数データをプロジェクト管理に活かせない」という悪循環を解消して、効果的な工数管理を行うには、以下のような方法が有効です。
- 工数管理の目的を社内に周知する
- 入力の負担を軽減できる工数管理ツールを利用する
- 工数管理のデータを、社員やプロジェクトマネージャーが活用できるようにする
順番に見ていきましょう。
解決策1.工数管理の目的を社内に周知する
工数は毎日入力してこそ正確な情報を取得できるものなので、実施にあたっては従業員の協力が必須となります。効果的な工数管理を行うために、まずは全従業員に以下の内容を周知し、工数管理の目的や意義を理解してもらうように努めましょう。
- なぜ工数管理をするのか
- 工数管理を活用することで会社は何を実現したいと考えているのか
- 工数管理をすることで、会社や従業員にどのようなメリットがあるのか
従業員に「面倒な作業が増えた」と思われてしまうと、工数入力を後回しにされたり、適当に入力されたりする問題が発生しやすくなります。従業員が一丸となって工数管理に取り組めるよう、理念を浸透させることが大切です。
解決策2.入力の負担を軽減できる工数管理ツールを利用する
社員に工数入力をその都度行ってもらうには、工数入力の負担を軽減できる機能が備わっているツールへ変更する(現在エクセルで管理している場合は新たにツールを導入する)のが良いでしょう。
例えば以下の機能が備わった工数管理ツールがおすすめです。
- 勤怠や経費精算なども同一のプラットフォーム上で入力できる
- カレンダーの確認と工数入力が1つの画面上で行える
- 直感的なUIで入力することが可能(スライダーを用いた入力など)
- スマートフォンからも入力できる など
勤怠と工数管理が連動していると、勤怠の入力内容がそのまま工数の合計時間として反映され、双方を照らし合わせる手間がなくなります。また、普段使用しているスケジュールアプリと工数管理ツールを連動させることができれば、工数入力の負荷を軽減できるでしょう。
ツールによっては、工数入力がより簡単に行えるようUIが工夫されているものもあります。
▼スライダーを用いた工数入力の例(「チムスピ工数」の場合)
解決策3.工数管理のデータを、社員やプロジェクトマネージャーが活用できるようにする
社員にこまめな工数入力を行ってもらうには、工数管理の目的やデータを共有し、それをプロジェクトの分析や改善に活用できるようにしましょう。
プロジェクトのコストや進捗管理を社員各々が自分ごととして受け止めるようになれば、「工数管理は無駄」という意識が起こりにくくなります。
工数管理のデータを「見える化」し、会社全体の利益、ひいては社員の利益になることをきちんと理解してもらうことが大切です。
そのためには、やはり工数管理ツールを見直してみることもおすすめです。
工数管理ツールによっては、
- 工数情報をリアルタイムで「見える化」する機能
- スケジュールの遅延や工数オーバー(工数超過)、予実が合わない(赤字が発生しそう)場合を察知してアラートを出す機能
- 工数に関する情報をさまざまな視点からグラフ化・レポート化できるダッシュボード機能
などが備わっているものもあります。
こういった機能を活用すれば、例えば以下のような表をもとに、目標原価と実際にかかっている原価を見比べ、プロジェクトが正常に進行しているかどうかを判断することが可能です。
このような、「工数管理を行えるだけではなく、プロジェクト改善に活かせるツール」を利用することがおすすめです。
「負担軽減」と「データ活用」ができるおすすめの工数管理ツール
上記で解説してきた「従業員の負担軽減」と「工数データの有効活用」ができる工数管理ツールをお探しなら、ぜひ「チムスピ工数」を1つの候補として検討してみてください。
「チムスピ工数」には、以下の機能が備わっています。
工数管理に関する機能 | 詳細 |
---|---|
スライダー工数登録 | スライダーを用いて、直感的に工数入力ができる |
外部カレンダー連携 | 連携可能なカレンダーに登録されたスケジュールを、工数実績として登録できる |
モバイルアプリから工数登録 | 外出中や出張中でも、簡単に工数登録ができる |
勤怠管理システム連動 | 勤務時間と完全に整合のとれた工数登録が行える |
経費精算システム連動 | 工数情報と経費精算の情報を、プロジェクトごとに紐付けて集計できる |
日報機能 | 工数実績の登録時、毎日の作業報告を社内SNSを使って共有できる |
レポート・ダッシュボード機能 | 工数情報・残業時間・経費利用状況などを見える化できる |
例えば「チムスピ勤怠」と「チムスピ工数」の2つをセットで使うことで、勤怠と工数を同一システム(同一画面内)で入力することができます。
▼勤怠と工数が整合していないことが一目で分かるアラートを出せる
上記画像の、4日(火)と5日(水)は、勤怠に対して工数が一致していないため、赤色で「!」が表示されています。このように、どの日が勤怠と工数が不一致を起こしているのかを一目で確認し、修正することができます。
▼勤怠と工数が整合していないと申請に出せない設定
さらに、勤怠と工数が整合していない場合は、そもそも申請に出せないよう設定することも可能です。この機能によって「人事担当者のもとにデータが送られてくる時には、全従業員の勤怠と工数が一致している」という状態を実現することができます。
そのため、以下のような効果が期待できます。
- 社員の負担を軽減し、こまめな工数入力を促せる(後押しできる)
- 工数やその関連データを「見える化」し、生産性を向上できる
- 工数と勤怠データとの整合が取れ、正確な工数データを取得できる
実際に、チームスピリット導入企業247社に「作業時間に関するアンケート」を実施したところ、月にかかる工数管理の時間を40%削減することに成功したとの結果が出ています(※チームスピリット利用者 247社 36,388人分のアンケート結果より)。
工数管理で業務改善に成功した企業事例
ここでは、工数管理が実際にどのような企業で行われ、どのような成果を上げているのかを、工数管理ツール「チムスピ工数」を導入した2つの企業事例をもとに紹介していきます。
事例1.株式会社イー・ステート・オンライン(業種:システム開発,広告・メディア,人材・派遣)
株式会社イー・ステート・オンラインは、インターネットを活用した不動産関連のプロモーション広告やサイト制作などを幅広く請け負う企業です。
同社では「サービス領域が多岐にわたり、各案件の工数管理をどのように行えばよいか分からない」という課題がありました。そこで「チムスピ勤怠」と「チムスピ工数」を連携・導入したところ、長年の課題であった「誰が、何をしているのかがわからない」が解決し、数字で明確に可視化されたとのことです。
また、UI(ユーザーインターフェース)もわかりやすく、工数の入力が容易になったとのこと。「ものの10秒で工数管理が終了する」という社内の評価から、工数管理の運用はスムーズだったことが伺えます。
導入目的 |
実感した効果 |
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誰が何をやっているかを明確にし、プロジェクトの実態を把握する |
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※参考:「TMK(たまにはみんな早く帰ろう)!」トップの号令で現場の"当たり前"が変わった
事例2.一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)(業種:コンサルティング,マーケティング・調査)
一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC/ジャスラック)は、音楽使用料の設定に大きく影響する「労務費」を正しく把握する必要がありました。
同社は、音楽利用者が支払う著作物使用料から事業運営の実費に基づく管理手数料を控除し、権利者へと分配するというビジネスモデルを採用しています。そのため、常に業務を見直して無駄なコストは省き、適正な管理手数料率を設定することを重要視しています。
従来もエクセルで工数管理を行っていたものの、以下のような課題を抱えていました。
- データの集計や確認・修正に膨大な時間がかかっている
- 工数情報と勤務時間の整合性が取れていない
- データをリアルタイムで活用できず、プロジェクトに活かせない
手軽に工数入力が可能で、プロジェクトの状況を一目で把握できる「チムスピ勤怠」と「チムスピ工数」を導入。すると、整合性のとれた正確なデータが収集でき、プロジェクトごとの正確な原価の算出につながったとのことです。
勤怠の締め処理・工数情報の集計作業にかかっていた年間約330時間がほぼゼロになったことから、業務効率化が実現し「真の働き方改革にも踏み出せた」と同社は評価しています。
導入目的 |
実感した効果 |
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※参考:適正な手数料率を設定することが、権利者と利用者に対する責任。リアルタイムなプロジェクト原価管理で、付加価値の高いサービスを目指す。
まとめ|工数管理はプロジェクトの生産性を高めるために必要
工数管理を適切に行えば、プロジェクトごとの正確な利益を把握できます。
「誰がどのくらいの時間をかけて業務を進めているのか」「プロジェクトの原価はいくらか」といった情報を数値で正確に把握することは、プロジェクト型の事業を行っている会社にとっては、必須業務といっても過言ではありません。
社員に日々の工数入力をしっかり行ってもらい、それをプロジェクト改善に活かすには、以下のような対策が有効です。
- 工数管理の目的を社内に周知する
- 入力の負担を軽減できる工数管理ツールを利用する
- 工数管理のデータを、社員自らも活用できるようにする
工数管理を通してプロジェクトの生産性を高めたい企業は、ぜひ工数管理ツール「チムスピ工数」を検討してみてください。
自社に最適な工数管理ツールをお探しの方へ
- 既存のツールでは機能や柔軟性が不足しており、その課題を解決したい
- 工数管理をするための工数に時間を取られないツールを使いたい
- 自社に合わせたシステム運用を提案・サポートしてもらいたい
このような企業には、100以上の勤務パターンへの対応実績があり、会社独自の細かいルールや原価管理にも柔軟に対応できる工数管理ツール「チムスピ工数」が最適かもしれません。
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