1. Home
  2. チムスピコラム
  3. 基礎知識
  4. 間接費とは?直接費との違い・業種ごとの分類・削減方法をわかりやすく解説!
基礎知識

間接費とは?直接費との違い・業種ごとの分類・削減方法をわかりやすく解説!

著者:チームスピリット編集部

原価率を把握・改善するうえで見逃してはいけないのが、「間接費」です。間接費は製品やサービスと直接紐づかない費用であり、一つひとつの費目はそれほど大きくありません。

しかし間接費に分類される費目数は非常に多いため、集中してコストを見直せば、会社全体として大きな削減効果を発揮する可能性があります。

とはいえ、そもそも間接費とは何か、どういった性質があるのか、何が分類されるのかといった情報を知らないと、適切に間接費を管理できず削減させることも困難です。

本記事では、「間接費とは何か」「直接費との違い」を解説した後に、間接費を削減するステップやポイントを解説していきます。

間接費の意味をしっかり把握した上で間接費のコスト削減方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

【他社はどうしてる?】
100社に聞いた工数管理の実態調査と改善事例を無料配布!

  • 工数管理が従業員の負荷を高めている
  • 工数の一括登録が常態化し精緻な原価管理ができていない
  • リアルタイムにプロジェクトの予実管理ができていない

工数管理に課題を抱える企業様は多いものの、既存の方法を脱せず応急措置的な業務改善を繰り返しているケースが見受けられます。

ぜひ同様の課題を抱えていた他社事例を参考に、自社の抜本的な業務改善や正確な工数管理の実現の一助としてお役立てください。

「工数管理の実態調査」を無料ダウンロードする

間接費とは

間接費とは製造や販売にかかる費用(原価)のうち、直接製造や販売に関わらない費用のことを指します。間接費の具体的な例をいくつか確認してみましょう。

▼間接費の具体例

  • 製造に使用した機械のメンテナンス費
  • システム開発に使用する拠点オフィスの光熱費・通信費
  • プロジェクトに関わっていない、バックオフィス担当事務員の人件費
  • 販売拠点で使用する文房具等の事務用品費

上記を見てわかるとおり、間接費は「製品そのものには関わらないものの、なければ製品が成り立たないような費用」だといえます。

間接費と直接費の違い

間接費とは反対に、製品そのものの製造・販売に直接的に関わる費用を「直接費」といいます。

例えば「机」を製造する場合、机そのものの原材料である木材や職人の賃金は「直接費」。製造現場で使用する文房具や現場で使用しているインターネット回線の通信費などは「間接費」に分類できます。

▼間接費と直接費の違い

kansetuhi_tyokusetuhi_illust (1).jpg

そもそも間接費というのは、原価の分類のひとつです。原価は大きく間接費と直接費に分けることができます。

それぞれの特徴を改めて以下にまとめます。

間接費

直接費

・製品製造やプロジェクト開発・販売に直接は関わらないが、間接的に必要となる費用

複数の製品やプロジェクトにまたがって発生することがある

製品製造やプロジェクト開発・販売そのものに関わる費用

ひとつの製品やプロジェクトに紐づいている

間接費と直接費は、材料費・労務費・経費に分けられる

間接費と直接費は、さらにそれぞれ「材料費」「労務費」「経費」に分けることができます。それぞれの特徴と、具体例を見てみましょう。

概要

具体例

間接費

間接材料費

・製品自体に直接関わらないが、補助的に必要な材料の購入費用

・梱包資材の費用

・製造機械のメンテナンス工具費用

・接着剤や塗料などの補助的な材料費

間接労務費

・製品やプロジェクトに直接関与しないが間接的に関係する労務費

・研修費用

・事務職員や清掃員などの賃金

・製造開発とは直接関係のないメンテナンス作業にかかった賃金

・担当者の通勤手当

間接経費

・間接材料費や間接労務費に該当せず、かつ製品やサービス製造に間接的に関係する費用

・開発オフィスの光熱費

・外部出張の旅費交通費

直接費

直接材料費

・製品の主要部分を占める材料費や、製品の部品購入費

・製品の主原料の費用

・製品装飾用の部品費用

直接労務費

・製品やプロジェクトの製造・開発を行ったことに対する賃金

・製造開発担当者の賃金

直接経費

・直接材料費や直接労務費に該当しない費用

・製造や開発に直接関わる外注費

・製造機械の減価償却費

※間接費と直接費を分ける基準は相対的なものであり、業種やプロジェクトの内容、原価に対する考え方によっても変わります。

間接費と「販売費及び一般管理費」の違い

なお上記に分類されない費用として、「販売費及び一般管理費」があります。「販売費及び一般管理費」は「販管費」とも呼ばれ、販売促進や会社運営などに必要な費用を指します。具体的には、次の費用などが該当します。

  • 広告費用
  • 本社の光熱費
  • 役員の報酬

販売費及び一般管理費(販管費)は、原価=間接費や直接費とは別に管理される科目です。

▼間接費と販売費及び一般管理費の違い

費用名

内容

具体例

間接費

製品やサービスの製造に間接的に関わる費用

  • 梱包資材の費用
  • 製造機械のメンテナンス工具費用
  • 接着剤や塗料などの補助的な材料費
  • 研修費用
  • 事務職員や清掃員などの賃金
  • 製造開発とは直接関係のないメンテナンス作業にかかった賃金
  • 担当者の通勤手当
  • 開発オフィスの光熱費
  • 外部出張の旅費交通費

販売費及び一般管理費

販売促進や会社運営などに必要な費用

  • 広告費用
  • 本社の光熱費
  • 役員の報酬

※間接費と販売費及び一般管理費を分ける基準も相対的なものであり、各企業によって変わります。

なぜ原価を間接費と直接費に分けるのか

では、そもそも、なぜ間接費と直接費に分けて原価を計上するのでしょうか。間接費と直接費に分ける理由と目的をそれぞれ解説していきます。

原価を間接費と直接費に分ける理由

間接費と直接費に分ける理由は「原価の内容を明確にし、原価の内訳を把握するため」です。

間接費は、製品やサービスに直接関わっていない費用です。そのため、何にどれだけ費用がかかったか明確にできる直接費のように簡単に計上できない場合があります。「このプロジェクトでの間接費はこれくらいだろう」と感覚で計上してしまうと、正確な原価が算出できません。正確な原価が算出できないと、実は予想以上に原価がかかっていたことがわからず、最終的に赤字となってしまうことも考えられます。

このようなことを防ぐために、間接費を正確に計上することにより「原価のうち、直接費はどれだけで間接費はどれだけ」と、原価の内訳を正確に把握することが大切となるのです。

原価を間接費と直接費に分ける3つの目的

原価を間接費と直接費に分けて内訳を把握すると、具体的にどのように変わるのでしょうか。ここからは、間接費と直接費に分ける目的について解説します。

間接費と直接費を分ける目的は、大きく以下の3つです。

  • 適切な予算・価格を設定するため
  • コストを削減するため
  • 経費を正確に計上するため

製造やプロジェクトの過程ではさまざまなコストがかかりますが、適切な価格設定のためにはいかに正確に原価を把握できるかが重要になります。製造に関わる全てのコストを考慮して原価計算しないと、赤字になってしまうおそれがあるからです。

間接費や直接費に分けてコストを細分化すれば、何にどのくらいのコストがかかっているのか、どこに無駄があるのかを明確にすることもできます。

「オフィスの電気代」などの複数製品の開発に紐づくコストでも、間接費に分類して適切に原価に組み込めば、製造と関係性があることを客観的に証明することになります。そのため、費用を経費として計上する際にも役立つのです。

複数の製品や事業にまたがった間接費の算出方法

複数製品にまたがって紐づくコストがある場合には、個々の製品にどう振り分ければいいでしょうか。「なんとなくこれくらいだろう」と、感覚で配分してはいけません。

複数製品にまたがって紐付くコストを間接費として原価計算するには、「配賦(はいふ)」という計算を行います。

配賦とは、複数の製品・サービス・事業・部署などにまたがっている間接費を、「時間」や「工数」といった一定の基準に従って各製品の製造原価に割り当てる計算方法のことです。

▼配賦のイメージ

kansetsuhi.jpg

間接費の配賦は、以下の手順で行います。

  1. 配賦基準を定める
  2. 基準に則って算出した配賦率を使って配賦額を計算する

次からは、具体的な配賦の方法を解説します。

1.配賦基準を定める

配賦基準は明確なルールがないため、配賦する間接費の科目ごとに自社の基準で定めていきます。数字として把握しやすく、配賦する間接費との関連性の高い基準を定めましょう。

例えば「光熱費の配賦は、稼働時間を基準にする」「事務職員の賃金の配賦は、製造に関連する業務を行った工数を基準にする」などがあります。光熱費の場合、稼働時間の総計に対して製品作成にどれだけ時間を費やしたかの割合を基準にして配賦率を決定します。

<事業所の稼働時間合計月160時間の場合>

製品A、製品B、製品Cを開発している事業所の光熱費1万円を時間で配賦

製品A:製造にかかった時間=80時間

配賦率:80時間÷160時間=0.5(50%)

配賦基準の定め方には「部門別」と「製品別」があり、それぞれ基準の考え方が異なります。一度設定した基準は変更できないため、事業の実態を十分に考慮した上で適切な基準を定めることが重要です。

2.配賦率を算出し、配賦額を計算する

定めた配賦基準を使い、間接費の配賦率を算出して配賦額を求めます。

例えば、製品A、製品B、製品Cを開発している事業所の光熱費1万円を時間で配賦する場合、以下の表のようになります。

<事業所の稼働時間合計月160時間の場合>

製造にかかった時間

配賦率

配賦額

製品A

80時間

50%

5,000円

製品B

48時間

30%

3,000円

製品C

32時間

20%

2,000円

また、製品A、製品B、製品Cを開発している事業所における事務作業(人件費15万円分)を時間で配賦する場合、以下の表のようになります。

<事務職員が製品関連の事務業務を合計100時間行った場合>

製品に関連する事務業務を行った時間

配賦率

配賦額

製品A

50時間

50%

75,000円

製品B

35時間

35%

52,500円

製品C

15時間

15%

22,500円

配賦を含めた原価計算方法については「正しい原価計算とは?やり方や計算式・目的をわかりやすく解説」記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてお読みください。

全社的に間接費を削減すれば「大きなコスト削減効果」が期待できる

正しく間接費を計上すれば予算との差異も正確に判明し、どこでどれだけ費用がかかったかが明確になるため、間接費の削減にも取り組めるようになります。

コスト削減というと、目に見えやすく改善しやすい直接費にばかり注力しがちです。間接費は一つひとつの費用がそれほど大きくないため、コスト削減の対象になりづらい側面があるからです。

しかしながら、製品やサービスにまたいで発生する間接費の削減を全社的に実施することで、大きなコスト削減効果を期待できます

また、間接費は削減によるデメリットが少ないという特徴があります。直接費を削減すると、製品の質が下がったり、直接労務費となる給与削減で従業員のモチベーションも下がったりすることがあります。しかし、間接費はそのようなデメリットが少ないため、削減に乗り出しやすいのです。

直接費と間接費の特徴の違いを踏まえて間接費削減について全社的に取り組むことで、大きなコスト削減効果が得られるはずです。

間接費を効率よく削減する手順とポイント

間接費を効率よく削減するには、以下3つのステップを実施しましょう。

3ステップ

  1. 間接費を可視化し、費目ごとに洗い出す
  2. 具体的かつ定量的な削減目標をたてて、関連部署全体で実行する
  3. 削減目標を共有し関連部署全体で実行する

ステップ1.間接費を可視化し、費目ごとに洗い出す

最初に行うのは、間接費の可視化です。どのコストがどのくらいかかっているのかを「見える化」することで、削減目標をピンポイントで定めて無駄なく対応することができます。

可視化する際に特に注目したいのが、間接費に分類されることの多い以下の費目です。

  • 人件費
  • 消耗品費
  • 備品費
  • 雑費
  • 交通費

これらは事業全体に継続的にかかるコストですので、無駄をなくすことでコストカットが見込めます。一方で、漫然と管理していると無駄が発生しやすい費目でもあります。

費目を洗い出す際は「物品名、購入先、購入目的、一度に購入した量」などの情報も同時に抽出するようにしましょう。その後の削減目標が立てやすくなります。

間接費を可視化する際は、「どのコストがどのくらいかかっているのか」を管理することが大切です。コストの管理方法については「コスト管理とは?手法や管理すべきコストの種類などを解説」の記事もご覧ください。

ステップ2.具体的かつ定量的な削減目標を立てる

間接費を可視化できたら、達成可能な目標を立てて削減案を実行します。

削減目標を考える際は、「どの費目のコストカットを目指すのか」「どうやって削減するのか」「どの程度の削減を目標にするのか」を明確に定めるようにしましょう。

間接費材料費、間接労務費、間接経費の各削減ポイントは以下のとおりです。

間接材料費の削減ポイント

間接材料費は、いかに在庫の無駄をなくし、安い価格で仕入れるかがポイントになります。以下の点を意識して、コストの削減を目指しましょう。

  • 一回の発注量や在庫の数などをモニタリングし、過剰発注がないように管理する
  • 材料調達の際に、相見積もりや価格交渉を行い可能な限り安い価格で購入する

間接労務費の削減ポイント

間接労務費の多くは従業員の人件費ですので、従業員の生産性を向上させることが間接労務費の削減に直結します。以下のポイントを参考に、コストを削減させましょう。

  • 勤怠管理や経費精算等の労務作業は、システムを導入して業務を自動化させる
  • 工数管理ツールを導入して従業員がどの業務にどのくらい時間をかけているかを「見える化」し、ボトルネックを解消する

工数管理ツールの種類や機能については、「工数管理ツールのおすすめ8選を一覧比較|機能や費用を確認しよう」の記事もぜひ参考にしてください。

間接経費の削減ポイント

間接経費は、以下の点を意識して削減していきましょう。

  • 電球をLEDに変える、節電・節水を心がけるなど水道光熱費の節約をする
  • 電気・ガス・通信は契約プランの見直しを行う
  • 交通費精算を省力化できるシステムを導入する

ステップ3.削減目標を共有し関連部署全体で実行する

具体的に決めたコスト削減の内容は、関連従業員全員に共有するようにします。間接費は事業所全体に関わる費用であることが多いので、コストカット施策を実施する際は関連メンバー全員で一丸となって取り組みましょう。

また施策を実施しただけで終わりにせず、結果を分析して次の目標に活かすことも重要です。

直接費のコストを削減する場合、効果がわかりやすく力をいれやすい一方で、品質の低下を招く危険性があります。間接費の場合は複数の製品にまたがっていることもあり、コスト削減の効果は感じにくいかもしれません。しかし地道に見直していくことで、コスト削減の効果は長期的に持続します。

製品の品質に大きな影響を与えずにコストカットが実現できる可能性も高いため、原価のコストを見直す場合は間接費の削減を優先して取り組むことをおすすめします。

プロジェクト型ビジネス(制作や開発など、経費の大部分が労務費になるビジネス)のコストを削減するにあたっては、プロジェクトの予算や計画に対してどれくらいコストがかかっているかを見る「予実管理」や「収支管理」も大切です。

予実管理については「プロジェクトにおける予実管理とは?目的や具体的手順、ツールの活用方法を解説」を参考にしてください。

原価を正しく管理し「見える化」するには、システムの利用がおすすめ

間接費を含め、原価管理を見直したいと考えている場合、「原価管理システム」を活用するのがおすすめです。

エクセル等の表計算ソフトで原価管理することも可能ですが、複数人で同時に編集しにくいというデメリットや、入力ミス・集計ミス等の懸念があります。複雑な管理になれば、計算が正しく行えなかったり、管理内容を分析できなかったりするケースもあるでしょう。

システムであれば、計算や集計を正確に管理し、それらをグラフの形に「見える化」することも可能です。

▼「誰がどの業務にどれだけ時間を使っているか」をグラフ化し、労務費をリアルタイムで分析するイメージ

genka.png

原価管理システムは業種や解決したい課題によって適したものが異なるので、自社事業や管理内容・現在の課題をもとに選定することが大切です。

まとめ|自社にとっての間接費を正しく把握することが大切

間接費は業務や会社全体に継続的に関わる費用です。

以下のような内容が、間接費に該当します。

概要

具体例

間接費

間接材料費

・製品自体に直接関わらないが、補助的に必要な材料の購入費用

・梱包資材の費用

・製造機械のメンテナンス工具費用

・接着剤や塗料などの補助的な材料費

間接労務費

・製品やプロジェクトに直接関与しないが間接的に関係する労務費

・研修費用

・事務職員や清掃員などの賃金

・製造開発とは直接関係のないメンテナンス作業にかかった賃金

・担当者の通勤手当

間接経費

・間接材料費や間接労務費に該当せず、かつ製品やサービス製造に間接的に関係する費用

・開発オフィスの光熱費

・外部出張の旅費交通費

原価の内訳を正確に把握するにあたっては、原価や工数を管理できるシステムの導入を検討してもいいでしょう。まずはどの費用が間接費に当たるのかを洗い出し、原価の内訳を正確に把握することが重要です。

自社に最適な工数管理ツールをお探しの方へ

  • 既存のツールでは機能や柔軟性が不足しており、その課題を解決したい
  • 工数管理をするための工数に時間を取られないツールを使いたい
  • 自社に合わせたシステム運用を提案・サポートしてもらいたい

このような企業には、100以上の勤務パターンへの対応実績があり、会社独自の細かいルールや原価管理にも柔軟に対応できる工数管理ツール「チムスピ工数」が最適かもしれません。

解決できる課題や運用イメージなどを具体的にまとめた「チームスピリット サービスご紹介資料」をご用意しました。工数管理ツールの導入をご検討中の方は、まずは一度ご覧ください。

「チームスピリットのサービス紹介資料」を
ダウンロードする