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基礎知識

労基法違反にならない出勤簿の書き方・集計しやすい管理方法を解説

著者:システム管理者

従業員の労働時間を正確に把握して適切な労務管理を行うために、出勤簿はぬけもれがないように記載する必要があります。また記載内容に不備があれば、労働基準監督署から指導を受けるリスクがあります。

しかし、出勤簿の書式は労働基準法で特に定められていないことから、自社の書き方で本当に問題ないのかどうかが気になっている担当者の方も多いかと思います。

この記事では、最低限押さえておきたい出勤簿の適切な書き方や、管理方法として手書きと Excel(エクセル)のそれぞれが向いているケースを、それぞれの特徴を踏まえた上で紹介します。その後、勤怠管理システム導入のメリットについても解説します。

出勤簿の適切な保存期間・保管方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

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最低限押さえておきたい出勤簿の適切な書き方

出勤簿に決まった書式はありませんが、従業員の勤怠状況を把握できる最低限の項目は記載すべきでしょう。労働基準監督署に従業員の労働時間を正確に把握できていないとみなされた場合に、指導対象となるリスクがあるためです。

出勤簿に記載すべき項目は、厚生労働省が出している法定帳簿に関するリーフレット内で以下であると示されています。

従業員の適切な労務管理のためには、最低限記載すべき項目を正確に記録する必要があります。

最低限書くべき項目

  • 従業員の氏名
  • 出勤日と出勤日数
  • 出勤日ごとの始業・終業時間・休憩時間
  • 時間外労働の時間数

参考(PDF資料):厚生労働省|ととのえましょう! 法定帳簿

これらの項目を記載すれば基本的には問題ないといえるでしょう。それぞれの項目の詳しい内容や記載時のポイントについては「出勤簿に最低限記載が求められる事項の書き方」で解説します。

また必須項目ではありませんが、記載した方が労務上の観点で管理しやすくなる項目についても紹介します。労務管理の必要に応じて記載項目として設けましょう。

記載した方が労務管理上良い項目

  • 有給休暇の取得日
  • 産休・育休の取得期間
  • 休日労働を行った日付・時刻・時間数
  • 深夜労働を行った日付・時刻・時間数

「最低限書くべき項目」と「記載したほうが労務管理上良い項目」を記載した出勤簿のイメージが以下です。賃金の正しい計算や上限時間を超えた労働の防止のためにも、月の労働時間や残業時間・深夜労働・休日労働の合計数は常に把握できる形式にすることが必要です。

図:出勤簿の記載項目

出勤簿に最低限記載が求められる事項の書き方

従業員の適切な労務管理のためには、最低限記載すべき項目を正確に記録する必要があります。

▼従業員の氏名
出勤簿は従業員一人ひとりのものを作成するため、誰の情報が記載された出勤簿かを明確にする必要がある

▼出勤日と出勤日数
従業員が出勤した日と出勤日数を記録する。その際、リモートワークや在宅ワークといった、会社以外の場所で働いている場合も記録する

▼出勤日ごとの労働時間数や始業・終業時間・休憩時間
出退勤時・休憩時において従業員自身に正確に記入させる。ただし、記録を行う際には、タイムカードやICカード、またはパソコンの使用時間の記録など、客観的なデータをもとにすることが望ましい

▼時間外労働の時間数
「1日8時間・1週間で40時間」の法定労働時間を超えて働いた場合に日付・時間数を記録する。また、変形労働時間制の場合は、日や週ごとなどで所定労働時間が変わるため、その都度時間外労働時間を算出する必要がある

記載した方が労務管理上役立つ項目の記載方法については、以下の表でまとめました。休暇の種類や時間などについて出勤簿に記載することで、より正確な労務管理が可能になります。

▼休日労働を行った日付・時刻・時間数
「1週間に1日も休みがなかった」もしくは「4週間で休日が4日未満だった」など、法定休日を超えて働いた場合は記録する。あくまで所定休日は含めず、法定休日に働いた場合のみ記録する

▼深夜労働を行った日付・時刻・時間数
「深夜22時〜翌朝5時」の時間に働いた場合に記載する。その際、給与計算の際は、割増賃金として正確に計算する

▼有給休暇・欠勤
有給休暇を取得させた際は、該当日の出勤簿の備考欄に「有給」や「年休」などと記載し、有給を取得させたことがわかるようにする。従業員が欠勤した場合は、同様に「欠勤」と記載する

▼産休・育休
産休・育休を取得させている際は、該当日の出勤簿の備考欄に「産前産後休業(休暇)」「育児休業」などと記載してわかるようにする。育児休業給付金を申請する際、出勤簿や賃金台帳、タイムカードといった育児休業を開始・終了した日を証明するものが必要になるため、証明のために使う場合は記載漏れがないようにする

出勤簿の管理は手書きとExcel(エクセル) どちらにすべき?

出勤簿の管理方法において、手書きとExcel(エクセル)のどちらが適しているかは、企業の規模や運用状況によって異なります。そのため、どちらを利用すべきか一概にはいえません。

この章では、出勤簿の管理を手書きとエクセルで行う場合に、それぞれが適しているケースを、各管理方法の特徴を踏まえて解説します。

手書きによる出勤簿が向いているケース

手書きの出勤簿は、少人数でパート・アルバイトが多い企業に向いているといえます。

手書きであれば、雇用形態で記入内容に違いがあっても柔軟な対応がしやすいためです。また、少人数の企業であれば手書きによる負担はそれほど大きくありません。さらに、手書きの出勤簿はPC操作に不慣れな従業員や年配の従業員が多い職場でも運用が容易です。

ただし、企業規模が大きくなり人数が増加するほど、日数や時間数の合計を数える負担も大きくなります。その結果、管理が煩雑になり、労務担当の集計の負担や集計・計算ミスの増加が懸念されます。

エクセルによる出勤簿が向いているケース

大人数で支社がいくつかある企業であれば、エクセルの出勤簿の方が管理しやすいでしょう。関数を入力すれば出勤日数や残業時間などの勤怠状況を自動で計算でき、社員数の多い企業でも管理の負担が軽減できます。データ上で管理するため、保管場所も不要です。データはPC上で検索でき、必要な情報にすぐにアクセスできます。出勤簿を共同編集できるようにすると、離れた拠点からでも一つの出勤簿に記載できます。

こちらの記事では、出勤簿として活用できる勤怠管理表のテンプレートを紹介しています。記事内では、関数の入力方法についても記載しています。自社の制度や働き方に合わせた出勤簿を作成する際にお役立てください。

一方で、エクセル活用にも欠点があります。出勤簿の関数にミスがあった場合、気づかずに必要項目を記載してしまうと集計ミスにつながります。また、労働に関する法律は改正が多く、その度に関数を書き換える必要があるのは大きな負担であるといえます。

記入・集計の効率化やミスの解消を図るには勤怠管理システムが有効

手書きやエクセルでの管理では、集計の手間や スの発生は避けられません。集計の手間やミスを軽減するには、出勤簿の記入・集計作業を自動化できる勤怠管理システムの活用が有効です。

勤怠管理システムとは、従業員の出勤・退勤・休憩時間・休暇などの勤怠状況を管理できるシステムです。出勤簿に記載が必要な項目を自動で集計できるため、出勤簿の作成が容易になります。この章では、手書きやエクセルでの管理と比較した場合のメリットと注意点について解説します。

紙やエクセルと比較した場合の勤怠管理システム導入のメリット

紙に手書き、またはエクセルに手入力する場合には、ぬけもれや記載ミスなどの不備がないか確認しながら集計する必要がありますが、勤怠管理システムを活用するとそれらの確認が不要になります。

勤怠管理システムでは、ぬけもれがある際に自動でアラームが送信されるため、人がその都度確認する手間を省けます。さらに、従業員の打刻によって始業・終業時刻や労働時間などが自動で収集されることで、記載ミスのリスクも低減します。

保管に関してもデータで管理できることから、エクセルと同様に書類の保管場所の確保や紛失の心配がなく、管理が容易です。加えて、クラウド型のものを選べば、万が一PC上でデータを消去してしまった場合にも容易に復旧ができます。

勤怠管理システム導入の注意点

勤怠管理システムを導入する際、購入費用のような直接的なコストに加えて時間的・人的コストがかかってしまう点は事前に把握しておく必要があります。

例えば、自社のルールに合わせた勤怠管理システムの設定や、勤怠管理システムについての周知を目的とした質疑応答・マニュアル作成・ルールづくりなどが挙げられます。

これらの導入に伴うコストとこの先の集計作業の省力化とを天秤にかけて、勤怠管理システムを導入するかを検討しましょう。導入すると決めた際は、サービスの機能・費用の種類は数多くあるため、自社に合った勤怠管理システムを選ぶようにしてください。

まとめ

この記事では、出勤簿の適切な書き方、手書きとエクセルの出勤簿それぞれの管理方法の特徴と向いているケース、勤怠管理システム導入のメリットについて解説しました。

出勤簿の正しい書き方を守り、適切な記録・管理を行うことは、従業員の職場環境の整備につながります。そのためにも適切な出勤簿を作成し、従業員の労働時間を適切に管理しましょう。

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