就業情報の可視化がキーに!?企業が実践すべき健康管理のポイント
著者:チームスピリット編集部
事業を大きくスケールさせるためには、その職務に就く従業員の熱意や能力が重要になります。しかし、いかにポテンシャルの高い人材を多く揃えていたとしてもそれを十分に発揮できる健康状態でなければ、仕事はままならないでしょう。つまり、仕事での活躍は、従業員が「健康」であることが大前提なのです。どんなに優秀な従業員でも、ケガや病気の状態ではベストのパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。そして、不健康な従業員が増えることで企業の業績にも悪影響を与えかねません。
そのため、企業としては従業員が安心して働ける環境づくり、つまりは「健康管理」に気を配る必要があります。現代では従業員の健康管理は会社の責任であるとも認識されているので、企業として従業員の業務をサポートし、健康を維持するための取り組みを積極的に行っていくべきでしょう。では従業員の健康管理を行うためには、具体的にどんな施策を行うべきでしょうか。従業員の健康情報を収集する目的や取扱方法、健康管理をするうえで実施すべきポイントを紹介します。
従業員の健康情報の取扱、管理することの目的
従業員を雇用する使用者であれば、ビジネスで成功を収めるためにも自社の人材にはハイパフォーマーとして活躍してほしいと願うでしょう。しかし、冒頭での触れたように従業員がパフォーマンスを発揮するためには、健康であることが第一です。そのため、使用者にとっては従業員の健康情報の取扱、管理に関しても重要な役割だと言えます。
事業者が従業員の健康情報等を取扱う目的としては、健康確保措置の実施や民事上の安全配慮義務の履行、事故防止、従業員・顧客の安全確保などが挙げられます。ただし、健康情報の収集自体には問題がなくても、情報を取り扱うことで従業員が何らかの不利益を被るとすれば、本来の目的に反するでしょう。そのため、事業者は健康情報を収集する目的を以下のように明示することが必要です。
<従業員の健康情報を取扱う目的の一例>
- 長時間労働者に対する医師による面接指導やその事後措置の実施
- 傷病・疾病のある労働者に対する就業上の措置の検討、実施
- 治療と仕事の両立支援の実施
また、従業員の健康情報は重要なプライバシーに該当するため、その取扱は厳密に行う必要があります。そのため、自社における従業員の健康情報の取扱の方法はきちんと規程に明記し、周知されていることが望まれます。健康情報は主に以下の5つの工程で管理されるので、それぞれの取扱の仕方をまずは把握しましょう。
工程1:収集
収集とは従業員の健康情報等を入手することを意味します。個人情報を管理するうえでの最初のステップです。収集は健康診断の結果に限らず、面談などによる健康状態の情報入手や記録も含まれます。
工程2:保管
入手した従業員の健康情報等を保存し、管理することが保管です。保管方法は企業によって異なりますが、紙媒体、もしくは電子媒体での保管が一般的だと言えます。
工程3:使用
使用とは従業員の健康情報を活用したり、医者や専門家などの第三者に提供したりすることを指します。ただし、情報を使用できるのは健康情報の取扱有権者のみとなり、健康情報の閲覧や紙媒体で入手した情報のデータ化も使用に含まれます。
工程4:加工
収集した健康情報を他者へ提供する際、情報を必要範囲内で変換することを加工と言います。例えば、従業員に健康診断結果を伝える場合、健康診断結果をそのまま提供するのは加工ではありません。所見の有無や検査結果を踏まえたうえで、医師の意見として追加情報を足すことなどが該当します。
工程5:消去
消去は収集・保管・使用・加工した健康情報を削除し、今後一切使用できない状態にすることを指します。健康情報は重要なプライバシーなので使用しない場合は、きちんと消去することが求められます。
企業が対応すべき従業員の健康管理のタッチポイント
企業にとって従業員の健康管理は必須事項ですが、具体的に健康促進のためにどんな施策を講じるべきでしょうか。従業員の健康維持のために最低限実施すべきことは、以下の4つです。
その1:ストレスチェックの実施
ストレスチェックとは、従業員が職場で感じるストレスの状態を確認できる検査です。質問票に記入し提出することで、心身の状況をデータ化できます。2015年12月以降、従業員が50人以上いる事業所を対象にストレスチェックが義務づけられており、毎年1回のペースで実施されています。従業員が50人以下の事業所については義務ではありませんが、実施が望ましいでしょう。
ストレスチェックは、従業員が自分のストレス状態を知ることで、ストレスを溜め過ぎないように対処したり、メンタルヘルス不調を防止したりする目的で行われます。ストレスの程度は医師などの実施者によって評価され、必要に応じて医師の面接指導を受けることも可能です。
その2:長時間労働の有無の確認
長時間労働は精神・肉体の両方に大きな影響を与えるため、残業や業務の立て込みによって疲労蓄積が増すという悪循環に陥ります。近年、従業員の健康を揺るがす過重労働は深刻な社会問題となっていることから、事業者は従業員の長時間労働の実態をいち早く察知し、具体的な解決策を講じることが重要です。
時間外労働の上限規制は、月45時間、年360時間です。それを超える場合は、労使の合意に基づく「特別条項付き36協定」の締結が必要になります。その特別条項も無制限というわけではなく、「時間外労働が年720時間以内」「休日労働を含む時間外労働は月100時間未満」「2~6ヶ月の休日労働を含む時間外労働を平均80時間以内」「月45時間を超えることができるのは年6ヶ月」という制限があります。違反すれば、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が企業に課せられます。
その3:健康診断の情報チェック
健康診断の実施は労働安全衛生法第66条によって義務化されています。そのため、事業者は従業員の健康維持をサポートするため、健康診断の項目に異常の所見のある場合は必要な措置を医師に確認する必要があります。
健康診断は従業員全員が対象です。1年以上使用する予定で週の労働時間が社員の4分の3以上である場合は、パートタイムやアルバイトの従業員も含まれます。また、常時使用する従業員においては「雇入時の健康診断」と「定期健康診断」の2種類を実施します。
その4:産業医による面談のセッティング
いくら常日頃から健康を意識している従業員でも、専門的な観点から見ると健康を害す予兆があったり、注意すべきポイントがあったりするものです。そのため、必要に応じて専門的な立場から指導や助言をする医師である産業医との面談をセッティングすることも健康管理に役立ちます。
産業医は、メンタルヘルス相談や健康診断、ストレスチェック後の面接指導、休職復職面談、長時間労働面談などその業務は多岐にわたります。企業の労務担当者と連携して従業員の健康管理をサポートしてくれる頼もしい存在だと言えるでしょう。
長時間労働をどのように把握するか
従業員の適正な健康管理と安全な就業環境の提供を実現するには、まず気をつけるべきが「働き過ぎ」を是正することです。そのためには、正しい勤怠管理が重要になります。実際に労働安全衛生法の改正により、2019 年 4 月からは各企業において従業員の労働時間の把握が義務化されています。就業状況を正しく把握できないと、従業員に長時間労働をさせてしまったり、年次有給休暇を適切に取得することができなかったりする危険性が高まります。
とはいえ、近年では働き方改革の推進によりテレワークなどの柔軟な働き方も増えてきているため、勤怠管理にも柔軟性が求められています。では的確に、そして柔軟に従業員の就業状況を管理するためには、どんな方法が望まれるのでしょうか。
その1:収集・保管・使用・加工を効率良く行う勤怠管理
健康情報の取扱と同様、勤怠管理においてもその工程で情報の収集、保管、使用、加工を行います。しかし、紙で勤怠管理をしている場合は、書類のファイリングや郵送といった煩雑な業務工数が増えるため、情報活用に手間がかかるというのが現状です。また、データ保管であっても、収集、保管、使用、加工の各工程が分断されていれば、必要な情報を即時に活用することができません。そのため、効率的な勤怠管理には勤怠管理ツールの活用がおすすめです。
その2:勤怠状況のリアルタイムでの把握(モニタリング)
従業員の健康管理を行うには、勤怠状況をリアルタイムでモニタリングするのがポイントです。なぜなら、従業員の長時間労働は勤務時間を集計したタイミングで初めて気づきます。そのため、月末の集計で長時間労働が発覚しても、従業員がすでに体調を崩している恐れもあります。そもそも「健康管理」は体調不良を未然に防ぐ目的で行うものなので、後からわかっても意味がありません。
勤務状況のモニタリングを行えば、従業員の長時間労働や勤務怠慢にその場で気づけるため、いち早く対処することができます。これにより、従業員の体調不良を未然に防げるとともに、適正な労働環境の整備にもつながります。
「チームスピリット」は従業員の健康管理に必要な情報がリアルタイムにひと目で分かる
バックオフィス業務を一元管理するクラウドサービス「チームスピリット」では、従業員の就業状況をリアルタイムで確認できます。ここでは、従業員の健康管理において可視化すべき点と、その情報がいかに健康管理に有益であるかについて解説します。
その1:労働時間の実態を可視化
従業員の健康管理において、まず労働時間を可視化することが重要になります。なぜなら、従業員の勤怠状況を可視化することで長時間労働や残業、仕事量の偏りなどを発見できるからです。
チームスピリットでは、複雑な勤務体系でもメンバーの実働時間を個々のデータとして収集・グラフ化。労働時間を視覚的に一目で把握することが可能になります。従業員の就業状況を可視化することで、些細な勤怠の乱れや健康面の変化の予兆を見つけることにも役立ちます。
その2:勤務間インターバルのジャッジ
勤務間インターバルとは、前日の退社時間から当日の出社時間までの休息時間を指し、一定時間のインターバルを確保することで過重労働の防止に効果的だとされています。この題材は「働き方改革実現会議」でも議論されており、勤務間インターバルは社員の健康管理や生産性の低下防止にとって重要な指標として、法制化に向けた検討も行われています。
チームスピリットでは、従業員によって打刻されたデータをもとに、一人ひとりの勤務間インターバルを簡単にレポート化することが可能に。また、一定時間に満たない従業員の実績をレポートとして抽出したり、データとして活用したりすることもできるため、当該従業員に対して適切な処置を施せます。
その3:有給休暇取得状況の確認
従業員は多くの時間を労働に費やすだけに、それと同様に家族との時間や趣味の時間など、プライベートもしっかり確保することが求められます。長時間労働や有給休暇が取得できない状況などが続けば、労働時間への満足度や休暇取得の満足度が下がることはもちろん、健康状態に対する不安も増大するでしょう。従業員が有給休暇を消化して上手くリフレッシュできているかをチェックすることが大切です。
チームスピリットでは従業員の有給休暇取得詳細を一覧で確認できるのはもちろん、年5日の年次有給休暇取得が危うい従業員がいる場合は管理者にアラートで注意喚起するシステムもあります。リアルタイムで有給休暇の消化状況が分かるので、適切なマネジメントを行えます。
企業活動を支える「健康管理」は チームスピリット で
企業にとって従業員の健康管理は必須事項です。そして、健康維持には従業員の情報を効率的に活用することが求められます。特に長時間労働においては、従業員の精神・肉体両方の疲労に大きく関係していることから、事業者は従業員の長時間労働をいち早く察知し、具体的な対策を講じる必要があるでしょう。そのためにも、勤務状況や働き方を適切に可視化し、リアルタイムでモニタリングしていくことが重要です。
チームスピリットは、労働時間の実態をはじめ勤務間インターバル、有給休暇取得詳細などをリアルタイムで可視化できます。また、複数のバックオフィス業務をクラウドで統合するため、間接業務やシステム運用にかかるコストも大幅に削減することができます。導入に関するご相談はいつでも受けつけていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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