タイムカードと勤怠管理システムはどちらが良い?メリット比較とシステム導入すべき企業
著者:チームスピリット編集部
働き方改革関連法の施行により、企業には「客観的な記録による 労働時間の把握」とそのための環境整備が求められるようになりました。この流れの中で、多くの企業が勤怠管理の方法を見直し始めています。
タイムカードをレコーダーに差し込んで打刻時間を記録する勤怠管理方法は今でも多くの企業で採用されています。しかしながら「タイムカードによる勤怠管理は本当に適切なのか」「もっと別の方法があるのではないか」と不安に感じる担当者もおられるかもしれません。
そこで本記事では、タイムカードによる勤怠管理のメリットとデメリットを詳しく解説するとともに、勤怠管理システムへの移行という選択肢についても紹介していきます。現在のタイムカードでの管理に課題を感じている企業や、これから勤怠管理の方法を見直そうとしている企業の参考になれば幸いです。
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タイムカードによる勤怠管理とは
タイムカードとは、従業員の出退勤時刻や休憩時刻などを記録する紙のカードのこと(広義ではこれを利用した打刻システムのこと)を指します。
従業員がタイムレコーダーにタイムカードを差し込むと、その時刻が印字され、その記録をもとに労働時間を集計や給与計算を行います。
タイムカードで行う勤怠管理の流れは以下の通りです。
従業員側の操作(出勤毎) |
管理者側の操作(主に月末) |
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タイムカードの集計は、月末にまとめて手作業で行うのが一般的です。
管理する人数が数人であれば問題ないですが、規模が大きくなると時間がかかるだけでなくミスが多発しやすいデメリットがあります。さらに、月末に担当者の業務が集中してしまう問題点もあります。
そのため近年は、タイムカードでの勤怠管理を廃止して、打刻と同時にデータが共有されて自動的に集計できるシステムに移行する企業が増えています。
タイムカードで勤怠管理を行うメリット
小規模企業やPC操作が苦手な従業員が多い企業などで依然として多く導入されているタイムカードには、以下のようなメリットがあります。
タイムカードで勤怠管理を行うメリット
- メリット1:導入・運用コストが安い
- メリット2:使い方がシンプルで簡単
1つずつ詳しく解説していきます。
メリット1:導入・運用コストが安い
まず、タイムカードを使った勤怠管理は、他の方法と比べて導入・運用コストが安いというメリットがあります。
モデルによって異なりますが、タイムレコーダーの価格は、2万円から購入可能です。また、ランニングコストは紙と印字用のインク代のみなので、大きな負担にはならないでしょう。
タイムカードの費用 |
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モデル |
本体価格 |
ランニングコスト(紙・インク代) |
印字機能メインのタイプ |
1〜5万円 |
月2000〜4000円(従業員数によって変動) |
USB等でのPCへのデータ出力が可能なタイプ |
5〜8万円 |
|
本体で自動集計が可能なタイプ |
15〜20万円 |
メリット2:使い方がシンプルで簡単
タイムカードには、使い方がシンプルで誰でも簡単にできるという利点もあります。レコーダーに指定の用紙を差し込むだけなので、特別な操作スキルを必要としません。
パソコンやタブレットなどが苦手な従業員でも、タイムカードを使った勤怠管理ならば抵抗なく使えることがほとんどと考えられます。
複雑な勤怠管理方法では従業員への教育コストが必要になりますが、タイムカードの場合その負担がありません。このような理由からも、手軽に勤怠管理を行いたい企業にとって、最初の選択肢としてタイムカードは適していると言えます。
タイムカードで勤怠管理を行うデメリット
シンプルで費用がかからないタイムカードですが、デメリットもあります。特に、近年働き方改革の一環で労働時間の適正な管理がより重要視されるようになり、タイムカードの課題が浮き彫りになってきました。
タイムカードで勤怠管理を行うデメリット
- デメリット1:集計や分析に時間がかかる
- デメリット2:不正打刻や改ざんのリスクがある
- デメリット3:紙の管理や保管に手間がかかる
- デメリット4:労働時間の管理が難しい
- デメリット5:多様な働き方への対応が難しい
デメリット1:集計や分析に時間がかかる
タイムカードから労働時間を集計する作業は、手作業で行うため時間がかかります。
特に月末の締め作業など、特定の期間に業務が集中することで、担当者の負担が大きくなります。また、手作業による集計では、ミスが発生するリスクも高まるでしょう。
デメリット2:不正打刻や改ざんのリスクがある
タイムカードでは、従業員による不正打刻や、管理者による改ざんのリスクもあります。
例えば「他人のタイムカードを使って打刻する」「業務が終わっているのに敢えて遅い時間に退勤の打刻をする」などの不正行為ができてしまうのです。
このような不正が重なれば、企業は本来払う必要がない余計な給与を支払うことになり、企業にとって大きな損失となります。
デメリット3:紙の管理や保管に手間がかかる
タイムカードは紙媒体であるため、その管理や保管に手間がかかります。労働基準法により、タイムカードなどの勤怠データは5年間保存することが義務付けられており、大量のタイムカードを長期間保管するには、スペースの確保が必要です。
また、紛失や汚損のリスクもあり、適切な管理が求められます。
デメリット4:労働時間の管理が難しい
タイムカードを使った勤怠管理では、月末にまとめて集計を行うのが一般的であり、リアルタイムでの労働時間の把握が難しいデメリットがあります。途中で集計データを見ることができないため、気づかないうちに残業時間が法定限度を超えてしまうリスクがあります。
※レコーダーによっては、本体に集計機能が付いているモデルや、パソコンと連携できるモデルもあります。
労働時間を把握しづらいというのは、法律の観点でのリスクはもちろん、従業員の働き方の実態が見えづらいという点でも問題があります。従業員の健康管理を適切に行うには、働き方の実態を可視化しなければいけません。しかし、タイムカードではどうしても限界があります。
デメリット5:多様な働き方への対応が難しい
近年、従業員のワークライフバランスの改善や生産性の向上を目的として、リモートワーク(テレワーク)やフレックスタイム制などの多様な働き方が広がっています。しかしタイムカードでの勤怠管理では、こうした働き方への対応が難しくなっています。特に、従業員がオフィス以外の場所で働く場合には、紙のタイムカードでの打刻は物理的に困難となります。
また、フレックスタイム制のような柔軟な働き方は、タイムカードでの正確な集計が困難になります。
たとえば、9時〜18時のような固定された勤務時間があれば、18時を過ぎた部分を残業と判断できますが、従業員が自由に勤務時間を選択できるフレックスタイム制は、日々の勤務時間の長短では残業の有無を判断できません。フレックスタイム制の残業は、月末の集計のタイミングで総労働時間から割り出す必要があります。さらに、コアタイムの有無によっても計算方法は変わってきます。
つまり、フレックスタイム制などは通常の勤務形態と計算方法が異なり、エクセルなどで集計しようとすると計算式がかなり複雑になってしまうのです。労務に関する専門的な知識がなければ、タイムカードでフレックスタイム制を正確に管理するのは困難だと言えます。
タイムカードでの管理が難しい場合は「勤怠管理システム」導入を検討してみよう
安価で簡単に勤怠管理できるタイムカードですが、デメリットを書き出してみると、大規模になればなるほど、働き方が多様になればなるほど適切な管理がしにくくなる勤怠管理方法といえます。
こうした問題を解決する方法として、近年、「勤怠管理システム」の導入が広がっています。
勤怠管理システムとは、出退勤時に打刻することで従業員の勤務状況を記録し、集計・出力できるシステムを指します。PC・タブレット・アプリ・ICカードなどで打刻でき、管理者はリアルタイムで従業員の勤怠状況を把握できます。
▼従業員が打刻したデータが自動で記録・計算され、管理画面から確認できる
システムやプランによって異なりますが、主に以下のような機能が備えられています。
- 出退勤の打刻・記録できる
- 勤務時間をリアルタイムで自動集計してくれる
- 残業時間も自動で計算してくれる
- 有給休暇の取得日数や残日数を管理できる
- 休暇申請・残業申請できる
- シフト作成・管理もできる(一部システム)
- 労働時間の可視化・レポート作成(一部システム)
従業員のスマートフォンや遠隔地のパソコン、タブレットなどでも打刻できるため、リモートワーク(テレワーク)などさまざまな働き方に対応できるメリットがあります。
▼スマートフォンアプリでの勤怠打刻入力
これらの機能により、タイムカードでは難しかった労働時間の正確な把握やリアルタイムでの勤怠管理、ヒューマンエラーの防止、多様な働き方への対応が可能になります。また、勤務時間の自動集計や各種申請の電子化により、業務の効率化と労務管理の適正化も同時に実現可能です。
勤怠管理システムの導入コストは、規模や機能によって異なりますが、一般的には従業員1人あたり月額200円~400円程度が相場です。タイムカードと比較するとランニングコストがかかりますが、人件費を大幅に削減できるため、長期的にはコストパフォーマンスが高い勤怠管理方法と言えます。
タイムカードのままで良い企業・勤怠管理システムがおすすめの企業
タイムカードと勤怠管理システムどちらが自社に適した勤怠管理方法なのかは、企業の規模や業種、働き方によって異なります。
▼タイムカードのままで良い企業 VS 勤怠管理システムがおすすめの企業
タイムカードのままでも良い企業の例 |
勤怠管理システムがおすすめの企業の例 |
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タイムカードのままでも良い企業の例
タイムカードによる勤怠管理のままでも問題ないと考えられる企業は、例えば以下のようなケースが該当します。
- 小規模で従業員数が少なく、勤怠管理業務の負担が小さい場合
- 従業員全員が同じ時間・場所で働いており、勤務体系が単純な場合
- 高齢者やITスキルが高くない従業員が多く、新しいシステムへの適応が難しい場合。
企業規模が小さく従業員の働き方が均一な場合には、タイムカードのままでも十分に機能します。例えば全員が同じ場所で、9:00~17:00(休憩時間は12:00~13:00)と決まっているような職場では、勤怠管理システムを入れても効果は限定的です。むしろシステムを導入すると費用ばかりかかってしまうことになり、費用対効果はマイナスになるでしょう。
このように、勤怠管理システムの導入の是非は、企業規模や従業員の働き方など様々な要因を考慮して総合的に判断することが大切です。
ただし、企業の成長に伴って、従業員数が増加したり働き方が多様化したりした場合には、タイムカードでの管理が難しくなる可能性があります。そのため、長期的な視点で勤怠管理の方法を検討することも重要です。
※タイムカードの勤怠管理を続ける場合には、法律で定められている「客観的な記録による労働時間の把握の義務化」を徹底できているかに留意する必要があります。
詳しくは「労働時間管理とは?義務化で企業が取るべき対応をガイドラインからわかりやすく紹介」の記事もぜひ参考にしてください。
タイムカードから勤怠管理システムに切り替えるべき企業の例
一方で、勤怠管理システムに切り替えた方が良いケースは以下の通りです。
- タイムカードの集計・管理・分析に膨大な時間がかかっており、業務の効率化が急務の場合
- リモートワークや外回り営業など、従業員の働き方が多様化しており、場所や時間に依存しない勤怠管理が必要な場合
- 労働時間の適正管理やコンプライアンス遵守に課題があり、勤怠管理の適正化が求められる場合
- 従業員のエンゲージメント向上や、働き方改革の一環として、勤怠管理の改善に取り組む必要がある場合
勤怠管理業務の負担が大きくて効率化したい企業や、多様な働き方に対応する必要がある企業では、勤怠管理システムへの移行が推奨されます。また、コンプライアンスの遵守や、従業員のエンゲージメント向上といった観点からも、勤怠管理システムの導入が有効な場合があります。
勤怠管理システムへの切り替えは、業務の効率化と適正化を同時に実現できる有力な選択肢です。導入・運用コストや切り替えによる従業員の反応などを注視しながら、自社の状況に合わせて慎重に判断することが大切です。
勤怠管理方法をタイムカードからシステムに代えた企業事例
最後に、実際にタイムカードから勤怠管理システムに移行して、業務効率や働き方の改善につながった事例を紹介します。
業種 |
製造・メーカー |
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システム導入前の課題 |
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システム導入後の成果 |
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大創株式会社は、電化製品や食器、お菓子などの輸送用緩衝材やパッケージの型を製造している企業です。同社では、若手社員の離職防止と社員の心身の健康を保つために、長時間労働の削減に取り組む必要性を感じていたそうです。
しかし従来は紙のタイムカードで勤怠管理を行っていたため、月締めまで労働時間を確認できず、長時間労働の是正が後手に回っていました。また、勤怠管理や経費精算が紙ベースで行われており、集計作業には膨大な時間がかかるという問題点もあったそうです。
こうした課題を解決するためチムスピ勤怠を導入。労働時間の可視化により、長時間労働の実態把握と削減に成功しました。また、勤怠管理や経費精算の自動化により、月次決算を4日間短縮し、給与支払い日も1日前倒しすることができました。
さらには、働き方改革関連法への対応もスムーズに行えるようになったといいます。同社にとって勤怠管理システムの導入は、業務効率化だけでなく、社員の意識改革にも繋がったようです。
この事例の詳細:製造業による長時間労働削減チャレンジが職場に起こしたプラスのスパイラル
まとめ|勤怠管理は自社の状況に合った適切な方法を選択するのがポイント
本記事では、タイムカードによる勤怠管理について、そのメリットとデメリット、そして勤怠管理システムへの移行について詳しく解説してきました。
タイムカードは、導入・運用コストが安く、使い方がシンプルで簡単という大きな利点があります。長年にわたって多くの企業で使われ続けているのは、こうした実用性の高さによるものと言えるでしょう。
しかし、一方でタイムカードには、紙の管理や集計の手間、多様な働き方への対応の限界など、様々な課題もあります。
こうした課題を解決し、より効率的で適正な勤怠管理を行うためにも、勤怠管理システムの導入が有効です。法令遵守の徹底、働き方改革を推進したい企業は、ぜひ勤怠管理システムの移行を検討してみてはいかがでしょうか。
自社に最適な勤怠管理システムをお探しの方へ
- 既存システムでは機能や柔軟性が不足しており、その課題を解決したい
- 就業規則の変更や法改正に都度対応できるシステムを利用したい
- 自社に合わせたシステム運用を提案・サポートしてもらいたい
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