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システムの活用

PCログでの勤怠管理とは?メリットや注意点、運用時のポイントを解説

著者:チームスピリット編集部

「打刻漏れが多くて、いつも従業員に確認や修正を依頼している」

「リモートワークが増えて、実際の労働時間の把握がしづらくなった」

「労働基準法を遵守したいけど、どうすれば正確な勤怠管理ができるのか分からない」

勤怠管理に関して、以上のような悩みを抱えている労務担当者も多いのではないでしょうか。これらの課題に対する解決策として候補に挙げられるのが、PCログを活用した勤怠管理です。

そこで本記事では、PCログを使った勤怠管理の具体的な方法やメリット、どのような企業におすすめなのかを解説していきます。

他方で、すでにPCログを活用しているものの、打刻情報との乖離が多く、そのチェックや原因の特定に時間を取られている企業も多いでしょう。そこで、PCログでの勤怠管理の運用を効率化する方法として、勤怠管理システムについても紹介していきます。

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PCログを使った勤怠管理とは

PCログを使った勤怠管理とは、従業員のコンピューターの電源がいつオン・オフされたか、パソコンをどのくらいの時間起動させていたかといった使用状況を、勤務時間の算出に活用する勤怠管理の方法です。

勤怠管理を行う上では、厚生労働省が定めるガイドラインによって「客観的な記録」に基づいた管理が求められています。

  • タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

※引用:労働時間の適正な把握のために - 使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

PCログでの勤怠管理は「パソコンの使用時間の記録」にあたるため、法令遵守の観点でも有効な勤怠管理の方法だと言えます。

そもそもPCログとは?

パソコンの電源を入れてから電源を切るまでにどのような操作を行ったか、またどんな通信を利用したかが履歴として記録されたもののことです。パソコンの電源をオンオフした時間だけでなく、使用したアプリケーション、閲覧したファイルやサイトの履歴などを確認することができます。

勤怠管理においては、パソコンの起動ログとシャットダウンログに基づいて、正確な勤務時間を算出するために活用します。

PCログを使った勤怠管理は、主にPCログが連携できる勤怠管理システムを利用して行います。これらのシステムは、PCログを自動的に収集・分析し、勤怠情報として整理する機能を持っています。詳細は後述しますが、こういったシステムを活用することで、より効率的で正確な勤怠管理が可能になります。

勤怠管理にPCログを導入することで、次のような効果が期待できます。

  • 労務コンプライアンスの向上
  • 打刻漏れや入力ミスの防止
  • 労務管理業務の効率化
  • リモートワークでの勤務実態把握

それでは次の章から、PCログを使った勤怠管理のメリットを具体的にチェックしていきましょう。

PCログ勤怠管理を行うメリットや必要性

PCログを活用した勤怠管理には、法令遵守業務効率化の両面で大きなメリットがあります。

このメリットを十分に活かせる場合は、PCログによる勤怠管理を導入する必要性が高いでしょう。

一方で、PCログ勤怠管理を導入しても「法令遵守」や「業務効率化」に繋がりづらい場合は、他の勤怠管理の方法を検討したほうがよいケースもあります。例えば、業務開始にともなってパソコンを立ち上げない業態では勤務の実態とPCログの記録が合わなくなるため、PCログ勤怠管理は適していないと言えます。

自社にとってPCログ勤怠管理がメリットになるのかをチェックし、導入の是非を考えてみましょう。

メリット1.法令遵守になる

前述のとおり、PCログを使った勤怠管理は、厚生労働省が定めるガイドラインにも記載がある「客観的な記録に基づく勤怠管理」にあたります。自己申告による勤怠管理などを行っていて客観的な勤怠管理ができていない場合は、PCログを使った勤怠管理をすることで、法令を守って勤怠管理が行える可能性があります。

2019年施行の改正労働基準法で、企業は客観的な記録により労働時間を把握することが義務付けられました。その具体的な方法として挙げられているのが、「パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録」なのです。

始業と共にパソコンを立ち上げ、終業とともにシャットダウンするような業務の場合、PCログによる勤怠管理を導入することで、企業は法令遵守を徹底することが可能になるのです。

メリット2.業務効率化につながる

打刻漏れや、勤怠入力のミスなどが頻発している場合は、PCログ勤怠管理を導入することで業務効率化につなげられる可能性があります。PCログを使うと、パソコンの立ち上げ・シャットダウンの記録が打刻情報となるため、打刻漏れの心配がなくなるからです。

従来の自己申告制やタイムカードでは打刻忘れや入力ミスが避けられませんでした。このようなミスがあると、打刻漏れのチェックや差し戻しなどで、労務担当者の負担が重くなってしまいます。

特に、勤怠管理システムとPCログを連携させると、打刻情報とログの乖離が自動で判定され、より勤務実態に近い勤怠管理が可能になります。これにより、リモートワークを導入している企業であれば、ステルス残業を防止することもできるでしょう。

さらに、乖離理由の申請フローがシステム上で完結するので、管理者・従業員共に、業務負担を軽減することできる点も大きなメリットです。

▼勤怠管理システムでPCログ(入退館ログ)と連携して勤怠管理を行う仕組み

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※上記画像では入退館ログと表記されていますが、PCログでの勤怠管理も同様の仕組みで行われます。

PCログでの勤怠管理を行う必要性が高い企業

以上のメリットを踏まえると、PCログを活用した勤怠管理は以下のような企業に特におすすめと言えるでしょう。

  • 客観的な勤怠の記録を把握できていない企業
  • ステルス残業など、コンプライアンスリスクを感じている企業
  • 働き方改革を推進したい企業
  • 勤怠管理業務で打刻漏れの確認・修正作業に工数を割かれている企業
  • 上場を目指している企業

PCログを用いた勤怠管理は、労務管理の正確性向上と業務効率化を同時に実現できる優れた手法です。特に、リモートワークの普及や働き方改革の推進に伴い、従業員の労働時間をより正確に把握する必要性が高まっている現在、多くの企業にとって検討に値する選択肢といえるでしょう。

また上場の審査では、労務コンプライアンスの適正性をチェックされます。そのため、上場を目指している企業にとって、客観的な記録を残せるPCログによる勤怠管理は、検討すべき方法の1つと言えます。

PCログを勤怠管理に活用する方法

PCログを勤怠管理に活用する方法は、主に以下の3つです。

  1. 従業員のパソコンから直接データを確認する
  2. ログ管理システムを活用する
  3. PCログ連携ができる勤怠管理システムを活用する

なお結論から言うと、PCログを勤怠管理に活用するのにもっとも適しているのは「PCログ連携ができる勤怠管理システムを活用する」です。なぜなら、パソコンのオンオフ情報を自動的に勤怠情報として連携できる機能が備わっているからです。

一方で「とりあえず従業員のPCログを確認してみたい」、「オンオフ以外のログ情報を取得したい」といった目的がある場合は、「従業員のパソコンから直接データを確認する方法」や「ログ管理システムを活用する方法」でも十分なケースがあります。

それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。

方法1.従業員のパソコンから直接データを確認する

PCログを勤怠管理に活用する方法の一つとして、従業員のパソコンから直接データを確認する方法があります。この方法では、各従業員のパソコンから直接ログを収集します。

OS別の起動・シャットダウンログの確認方法は以下の通りです。

Windows(Windows10・11) Mac
  1. 「イベントビューアー」を起動
  2. サイドバーから「Windows ログ」をクリック
  3. 「システム」ログを選択
  4. 確認したいログを選択
  5. 右クリックで「すべてのイベントを名前をつけて保存」を選択
  1. 「ターミナル」を起動
  2. 「last」コマンドを入力

以上の手順で収集した情報を、Excelなどの表計算アプリに取り込んで管理するのが、一般的な流れです。

この方法は、試験的にPCログ勤怠管理を始めたい場合や、とりあえず従業員のPCログを確認してみたいような場合におすすめです。

ただし従業員のパソコンからログをひとつひとつ確認し、数値を転記するのは多大な手間がかかります。より正確な勤怠管理を行いたい場合や、労務負荷を減らしたい場合は、PCログ連携ができる勤怠管理システムを使った方法がおすすめです。

方法2.ログ管理システムを活用する

ログ管理システムは本来、ログの収集・管理・監視を行うことで、セキュリティを高めることを目的としたものです。勤怠管理に活用する場合、システムで収集したパソコンのオンオフの情報を、出退勤の情報と付け合わせて管理することで、正確な勤怠管理に活用することができます。

これは、オンオフ情報以外のログを取得したい場合や、セキュリティ目的でPCログを管理したい場合に検討すべき方法です。

そもそもログ管理システムそのものは、勤怠管理を目的としたシステムではありません。そのため、ログ管理システムで収集したログを効率的に勤怠管理に活用するためには、次の方法で紹介する勤怠管理システムを使った方法がおすすめです。

方法3.PCログ連携ができる勤怠管理システムを活用する

勤怠管理システムとは、打刻情報をもとに従業員の勤務状況を記録し、勤怠情報を自動で集計・出力するシステムです。PCログで勤怠管理を行いたい場合、PCログと連携できる機能を持った勤怠管理システムを活用する方法が最もおすすめです。

PCログによる勤務時間の記録と打刻機能が併用できるため、より労働の実態に合った勤怠管理が可能になります。

PCログと連携できる機能を持った勤怠管理システムでは、主に以下のことが行えます。

  • 収集したPCログの情報を勤怠情報に自動連携する
  • 打刻情報とPCログの情報に乖離があった場合、アラートで通知する
  • 打刻情報とPCログの情報に乖離があった場合、乖離理由の申請や承認が行える

▼ログとの乖離があった場合に通知する機能

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勤怠管理システムにはPCログとの連携機能以外にも、適正な勤怠管理を行うための様々な機能が充実しています。製品によっては、細かくアラートの設定ができたり、システムで自動的に入力内容のチェックを行えたりと、労務担当者の負荷を減らすための工夫がこらされているものもあります。

▼打刻漏れを知らせるアラートの例

勤怠管理に関する法令違反を避けたい企業だけでなく、勤怠まわりの業務効率化を進めたいと考えている幅広い企業におすすめです。

特に、以下に当てはまる企業は、PCログ連携ができる勤怠管理システムを導入することでメリットを十分に感じられる可能性が高いでしょう。

  • パソコン作業を主とする企業
  • 打刻漏れのチェックや、自己申告の勤怠管理によって勤怠管理業務に負荷がかかっている企業
  • PCログ以外の打刻方法(ICカード打刻、Web打刻など)も併用したい場合
  • リモートワークを導入している企業
  • 上場を目指すために、労務コンプライアンスを強化させたい企業

PCログによる勤怠管理に関する4つの注意点

PCログによる勤怠管理を適切に行うには、その特徴と注意点を理解しておきましょう。

  1. 業態・業種や勤務場所の環境によっては対応できない
  2. 実労働時間との乖離が発生する可能性がある
  3. 運用には一定のコストがかかる
  4. データ改ざんのリスクがある

業態・業種や勤務場所の環境によっては対応できない

PCログを用いた勤怠管理は多くの業種で有効ですが、全ての業態や業種に適用できるわけではありません。特に、パソコンの使用が業務の中心ではない職種や、勤務場所が固定されていない業種では、この方式の導入が困難または非効率的な場合があります。

例えば、建設現場や製造ライン、小売店舗、飲食店など、主に現場作業や対面サービスを行う業種では、パソコンの使用頻度が低いため、PCログによる勤怠管理は適していません。

また、営業職や配送業務など、頻繁に外出する仕事では、オフィスのPCログだけでは正確な勤務時間を把握できません。

このような業態や業種では、GPS機能付きのWeb打刻や、タイムカード、あるいは自己申告制との併用など、それぞれの特性に合わせた勤怠管理方法を選択する必要があります。

PCログによる勤怠管理の導入を検討する際は、自社の業務内容や従業員の働き方を十分に分析し、最適な方法を選択することが重要です。

実労働時間との乖離が発生する可能性がある

PCログによる勤怠管理は、実際の労働時間との間に乖離が生じる可能性があります。この乖離は、パソコンの使用パターンと実際の業務活動が必ずしも一致しないことから生じます。

例えば業務の中には、紙の資料を読んだり、会議に参加したりするなど、パソコンを使用しない業務時間もあります。これらの時間はPCログには反映されません。

逆に、業務に関係のない個人的なウェブ閲覧などが勤務時間としてカウントされる可能性や、昼休憩中にパソコンを使用した場合や、業務終了後に個人的な用事でパソコンを使用した場合など、勤務時間外の活動がログに記録されることもあります。

このため、PCログのデータを勤怠記録として使用する際は、一定の調整や他の打刻方法との併用が必要になることがあります。

勤怠管理システムには多彩な打刻方法が選べる製品も数多く展開されています。自社の働き方に合った打刻方法が選べるシステムを使ってPCログとの連携を行うと、より正確性が高くコンプライアンスに遵守した運用が行えるでしょう。

運用には一定のコストがかかる

PCログを勤怠管理に活用し業務効率化を実現するには、PCログと連携できる勤怠管理システムの導入が効果的です。ただし、こうしたツールの利用には一定のコストがかかります。

例えば、現在主流となっているクラウド型(Saas)勤怠管理システムの費用相場は以下のとおりです。

初期費用

0円~20万円程度

(サービス導入時に支払う初期費用)

月額費用(ランニングコスト)

1名あたり100円~800円程度

(サービスを利用する従業員数だけ、サービス使用料がかかる)

また、導入時には新しい業務フローへの適応が必要となるため、一時的に担当者の負担が増える可能性があります。

しかし、ツールの導入により、データの統合や分析がスムーズになり、長期的には業務効率の向上につながるでしょう。PCログを活用した勤怠管理の導入を検討する際は、これらの点を考慮し、企業規模や予算に応じた適切なシステムを選択することが重要です。

データ改ざんのリスクがある

PCログを用いた勤怠管理システムは、一見すると客観的で改ざんが困難に思えますが、実際にはデータ改ざんのリスクが存在します。技術に詳しい従業員や、特別な権限を持つ管理者が、意図的にログデータを操作する可能性があるのです。

さらに、システムの脆弱性を突いたハッキングにより、外部から不正にデータを改ざんされるリスクもあります。このようなデータ改ざんは、不正確な勤怠記録につながるだけでなく、労務管理上の大きな問題を引き起こす可能性があります。

これらのリスクに対処するためには、強固なセキュリティ対策の実施が不可欠です。データの暗号化、アクセス権限の厳密な管理、定期的なシステム監査などを行うことで、改ざんのリスクを最小限に抑えることができます。また、複数の勤怠管理方法を併用することで、相互チェック機能を持たせるのも有効な対策です。

PCログと連携できる勤怠管理システムを選ぶ際は、セキュリティ対策に力を入れている勤怠管理システムを選ぶことも有効な対策となるでしょう。

勤怠管理システムのセキュリティは安全なのか?対策やツール例も紹介

PCログを使った勤怠管理の運用ステップ

これまで説明してきた注意点を踏まえて、PCログを使った勤怠管理の運用ポイントを解説していきます。以下のステップで導入を進めることで、スムーズにPCログを使った勤怠管理を行うことができるようになるでしょう。

  1. どうしてPCログをとりたいのかを明確にする・課題を把握する
  2. 導入前に運用規則を定め、従業員に周知する
  3. 他の打刻機能と併用する
  4. 実労働時間との顕著な乖離が発生した際は実態調査を行う

ステップ1.どうしてPCログをとりたいのかを明確にする・課題を把握する

PCログを使った勤怠管理の運用を始める上で重要なポイントは、まず、勤怠管理に関する課題を洗い出すことです。その上で、それらの課題はPCログ勤怠管理によって解決可能かどうかを評価しなければいけません。

例えば、「打刻漏れを防ぎ、業務効率化を図りたい」「リモートワークでのステルス残業を防止したい」といった課題に対しては、PCログ勤怠管理は強い味方となるでしょう。

一方で、先述したようにPCログは特定の業態との相性はよくありません。そのため、製造業や研究施設などは、PCログよりむしろ、入退室ログなどが適しているでしょう。

▼入退室ログ

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ステップ2.導入前に運用規則を定め、従業員に周知する

PCログを活用して正確に勤怠管理を行うためには、勤務実態との整合性を担保する必要があります。

例えば、出社後すぐにパソコンをオンにしたのにもかかわらず、実際の稼働が30分後になると、ログの情報と勤務実態に30分のズレが生じます。このようなズレを最小限にするためにも、パソコンの立ち上げ・シャットダウンの手順など、具体的な運用規則を定めることが大切です。

また、リモートワークへの対応のためにPCログをモニタリングする場合、従業員は監視されていると感じ、業務へのモチベーションが下がる可能性があります。そのため、PCログの収集対象となる情報の範囲や、データの使用目的などを定め、従業員に周知することも大切です。

従業員と会社の間で透明性を確保することで、信頼関係を維持し、スムーズな導入に繋がります。

ステップ3.他の打刻機能と併用する

PCログによる勤怠管理は、単独で使用するよりも、他の打刻機能と併用することでより正確で信頼性の高い勤怠管理が可能になります。PCログと連携できる勤怠管理システムを導入すれば、PCログのデータと打刻機能を併用した勤怠管理が行えます。

PCログ単体で勤怠管理を行う場合、従業員がパソコン立ち上げ前に行う業務準備や朝礼などの時間が記録されず、実際の勤務開始時刻よりも遅い時間が記録されることがあります。こういった勤務実態とのズレを解消するには、スマートフォンアプリから打刻できるシステムを併用するのがおすすめです。出社直後にアプリから打刻することで、パソコン起動前の業務時間も正確に記録できるようになります。

ステップ4.実労働時間との顕著な乖離が発生した際は実態調査を行う

先述した通り、PCログによる勤怠管理は、実労働との乖離が発生する可能性があります。そのためにも、他の打刻機能と併用する必要があるのですが、あまりにも顕著な乖離が発生している場合は、その原因を特定し適切に対処するために実態調査を行うことが重要です。

この調査は、単なる記録の修正だけでなく、業務プロセスの改善や従業員の働き方の最適化にもつながる貴重な機会となります。

実態調査は、該当する従業員との面談や、PCログの詳細な分析を行うと良いでしょう。従業員との面談を実施し、労働実態をヒアリングすることで、パソコンを使用しない業務の存在、非効率な作業手順、過度な業務負荷などの問題が明らかになることがあります。

PCログを使った勤怠管理に関するよくある疑問

ここでは、PCログを使った勤怠管理に関する疑問にお答えしていきます。

すでにPCログを勤怠管理に使用しているものの問題が発生しているようケースの疑問にもお答えできる内容になっています。ぜひご参考になさってください。

PCログと勤怠記録に乖離が発生する理由は?

PCログと実際の勤怠記録に乖離が発生する理由には、主に以下のようなものがあります。

理由 具体例
パソコンの起動前やシャットダウン後に業務を行っている
  • パソコン立ち上げ前の事務作業
  • 朝礼への参加
  • シャットダウン後の突発的な電話対応
業務時間外にパソコンを私的な目的で使用している
  • 休憩時間中のネット閲覧
  • 業務終了後の個人的な利用
パソコン立ち上げ状態で離席している
  • 私用による中抜け

これらの要因により、PCログと実際の勤務時間との間に乖離が生じることがあります。そのため、PCログを勤怠管理に活用する際は、これらの点を考慮し、必要に応じて他の勤怠管理方法と併用したり、定期的な実態調査を行ったりすることが重要です。

PCログと実労働時間との乖離があると法律違反になる?

PCログと実労働時間との間に乖離があることが直ちに法律違反になるわけではありません。ただし、厚生労働省のガイドラインでは、労働時間との間に著しい乖離が生じる場合には「実態調査」を行うことが求められています

詳細は、厚生労働省のガイドラインもご確認ください。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(厚生労働省)

重要なのは、乖離が生じた場合には理由を報告させるなどのルールを設定することや、乖離を発見した場合は直ちに労働時間の実態を調査することです。著しい乖離が頻発する場合は、隠れ残業が横行しているなど、労働時間の管理が適切に行われていない可能性があります。原因に応じて、改善に向けた対応を行うことが必要です。

スリープモード・休止モードはどのように記録される?

基本的に、パソコンがスリープモードや休止モードになっていても、電源が完全に切られていない限りシステムはパソコンが稼働中であると認識し、勤務時間として記録される可能性が高いです。つまり、単にパソコンの蓋を閉じたり、一時的に休止状態にしたりしただけでは、勤務終了とはみなされません。

正確な勤怠管理を行うためには、業務終了時に必ずパソコンの電源を完全に切ることを徹底する必要があります。これにより、不要な残業時間の計上や、実際の労働時間との乖離を防ぐことができます。

PCログ打刻ができる勤怠管理システム3選

PCログは勤怠管理システムを用いて管理することで、その強みがより活かされます。しかし、全ての勤怠管理システムがPCログ打刻に対応しているわけではありません。

そこで、ここからはPCログ打刻ができる勤怠管理システムを3つ紹介していきます。

チムスピ勤怠

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引用:チームスピリット公式サイト

打刻方法 パソコン/スマートフォン/タブレット/タイムレコーダー/NFCリーダ(カードリーダ)/マイフェアカード・シール/顔認証/セキュリティドア/PCログ
機能

出退勤管理(PC・モバイル)

工数管理※

有給管理(独自休暇の作成も可)

客観ログを用いた打刻データの乖離チェック

給与レポート作成

ワークフロー(申請・承認)

英語対応 など

※工数管理機能の利用は「チムスピ工数」の同時導入が必要となります

初期費用 150,000円
月額料金

1人あたり月額400円(50IDから利用可能)

※「チムスピ工数」同時導入の場合は月額600円

チムスピ勤怠の強み

  • 勤怠管理と工数管理を一元化して、実労働時間と整合性の取れた工数情報を取得できる
  • 高いカスタマイズ性を備え、様々なパターンの勤務形態を管理画面から簡単に設定できる
  • 高度な労務レポート機能や豊富なアラート機能で、長時間労働などの労務リスクに対処できる

チムスピ勤怠が特におすすめの企業

  • 労務費を原価とするシステム開発業やIT業などのプロジェクト型ビジネス企業
  • 多様な勤務パターンを導入している企業
  • 従業員の労務意識を高め、労務コンプライアンスを遵守していきたい企業
  • 残業管理を適正化して内部統制を強化していきたいIPO準備企業
  • 月次の締め作業を改善していきたい企業
  • 専門の担当者による丁寧なサポートサービスを受けたい企業

チムスピ勤怠は10年以上の提供実績を持つ、クラウド勤怠管理の先駆けとなるサービスです。チムスピ勤怠では、ログ管理システムとのAPI連携を行うことで、PCログでの勤怠管理が可能になります。

これらのログ管理システムから自動で取得された情報は、チムスピ勤怠上で社員が行った打刻情報と自動で照合され、乖離があれば検知されます。これにより、サービス残業の有無など、従業員の勤務実態のより正確な把握が可能になります。

▼ログとの乖離があった場合に通知する機能

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また、チムスピ勤怠は勤怠管理と同時に工数管理ができる点も大きな特徴です。そのため、特にシステム開発業やITサービス業、広告・制作業などの「プロジェクト型ビジネス企業」で選ばれています。

チムスピ勤怠では一度のログインで勤怠打刻と工数入力を行うことができることで常に勤務時間とプロジェクト工数の整合性が取れ、正確な労務費を算出していくことができるようになります。

▼例:勤怠と工数の不一致を知らせるアラート(赤いビックリマークの箇所が不整合)

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また、集計機能とレポート機能に強みを持っており、リアルタイムな残業・有給管理、給与レポートの作成自動化など、労務担当者の業務効率を改善していくことができます。

▼例:各種勤怠状況の可視化レポート

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▼例:有給休暇の付与状況レポート

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勤務体系の追加や修正も管理画面から手軽に実施できるため、法改正・就業規則の改定に対応していきやすいのも、労務担当者には嬉しいポイントです。

  • 月次の勤怠計算、工数計算に大きな負担がかかっている
  • 36協定や有給の管理が後手に回っており、法令遵守に苦慮している
  • システムの運用が足かせになって、時流や社員の要望に合わせた働き方を柔軟に取り入れることができていない

このような企業は、ぜひチムスピ勤怠を検討してみてください。

ジョブカン勤怠管理

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引用:ジョブカン勤怠管理公式サイト

打刻方法 パソコン/スマートフォン/タブレット/ICカード/指静脈・顔認証/チャットツール連携(LINE・Slack)
機能

出勤管理

シフト管理

休暇の申請管理

工数管理

自動集計

超過労働対策

医療機関特化

専用アプリ など

初期費用 0円
月額料金 1人あたり月額200円~500円

※最新の情報は提供会社へお問い合わせください。

ジョブカン勤怠管理の強み

  • シリーズ累計導入実績が15万社を超えており、導入企業数がトップレベル

ジョブカン勤怠管理が特におすすめの企業

  • 導入実績の多い勤怠管理システムを利用したい企業
  • 複雑なシフトパターンがある医療機関

ジョブカン勤怠管理は、ITトレンドの勤怠管理・就業管理システムの年間ランキング2023でNo.1を獲得したシステムです。シリーズ累計導入実績は2024年7月時点で25万社を超えており、多くの勤怠管理システムの中でもトップレベルの導入数を誇ります。

ジョブカン勤怠管理は、ログ管理システムMaLionCloudと連携することで、PCログでの勤怠管理が可能になっています。以前よりCSVでの連携は可能でしたが、2024年4月よりAPI連携の提供が開始され、シームレスな連携が可能になりました。

初期費用は無料で、月額費用は機能の組み合わせで200円~500円(1人あたり)です。出勤管理のみを利用する場合は月額200円で、出勤管理とシフト管理、休暇・申請管理、工数管理を全て利用する場合は月額500円となります。

1万名規模の会社にも対応しているため、導入実績で選びたい中規模~大規模の企業におすすめです。また、医療現場に特化した機能もあるため、医療機関でシンプル型のシステムを導入したい企業もぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

キンタイミライ

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引用:キンタイミライ公式サイト

打刻方法 パソコン/スマートフォン/タブレット/ICカード/QRコード/指静脈/Windowsログオン/携帯電話+画面メモ
機能

有休・振休・代休 付与・残数管理

給与計算向けデータの出力

PDF出勤簿

勤務中従業員一覧

パターン型 シフト管理 など

初期費用 要見積もり
月額料金 要見積もり

※最新の情報は提供会社へお問い合わせください。

キンタイミライの強み

  • 3,000人以上の規模の市場で10年連続シェア1位を獲得(2024年6月時点)
  • ホテル・旅館業、運輸・倉庫業、流通・サービス業などにおける、従来のシステムでは実現が難しかった複雑な勤怠管理にも対応

キンタイミライが特におすすめの企業

  • ホテル・旅館業、運輸・倉庫業、流通・サービス業など、シンプル型の勤怠管理システムではうまく管理できない企業

キンタイミライは、複雑な就業ルールを持つ大規模の会社に選ばれている勤怠管理システムです。10年連続で、3,000人以上の大企業に最も多く選ばれた実績を持っています。

特に、パソコンなどのデジタルツールに不慣れな従業員が多い現場や、ホテル・運輸・飲食・レジャー産業など、サービス業に分類される企業への導入実績が多くあります。

キンタイミライでは、Windowsのログオン・ログオフ操作で打刻することができます。ログ管理システムを別途導入する必要がないため、これからPCログを使った勤怠管理を行いたい企業に特におすすめです。

まとめ|PCログは勤怠管理システムで管理しよう

PCログを活用した勤怠管理は、多くの企業が直面する労務管理の課題解決に有効です。客観的な労働時間の記録、リモートワーク環境での正確な勤怠管理、打刻漏れの削減、労務コンプライアンスの向上など、様々なメリットがあります。

PCログを勤怠管理に活用するには、PCログとの連携ができる勤怠管理システムと組み合わせることが重要です。勤怠管理システムと組み合わせることで、PCログを即座にシステムに取り込み、勤怠情報として活用することができます。

また、勤怠管理システムが提供している他の打刻機能と併用することで、PCログと打刻データの自動照合が行われ、より実態に近い勤怠管理が可能になります。

ただし、従業員のプライバシーへの配慮や、データ取り扱いに関する明確な運用規則の策定は不可欠です。また、PCログと実際の労働時間に乖離が生じた場合は、適切な調査と必要に応じた補正を行うことが法令遵守の観点から重要です。

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