打刻漏れの対処法|忘れる理由や防止策・起きた後の処理方法を解説
著者:チームスピリット編集部
打刻漏れとは、出勤時や退勤時にタイムカードなどによる記録を取り忘れてしまうことを指します。
打刻漏れが頻繁に発生すると、出勤/退勤時刻の修正が必要になるなど、勤怠管理担当者の業務負担が大きくなってしまいます。
そのため、以下のような悩みを持つ管理者も多いのではないでしょうか。
- 「なぜ打刻を忘れてしまうのだろうか」
- 「どうしたら打刻漏れを発生させないようにできるだろうか」
- 「打刻漏れを何度も繰り返す従業員の処遇をどうすればよいのだろうか」
打刻漏れが起こる原因としては、「従業員に日々打刻を行う習慣がついていない」「習慣づけるための環境が整っていない」などが挙げられます。
そこで本記事では「どうすれば従業員が打刻を忘れない職場にできるか」という観点から、打刻漏れを防ぐ方法を解説していきます。
また、打刻漏れが起きた際の正しい対処法や、法律違反になる可能性がある間違った処理方法なども説明するので、ぜひ参考にしてください。
【2023年最新版】
勤怠管理システムのリプレイス意識調査
- 打刻漏れをする社員が多く正確な勤怠実績がとれず人事の負担が大きくなっている
- 既存システムでは機能や柔軟性が不足しており、その課題を解決したい
- 就業規則の変更や法改正に都度対応できるシステムを利用したい
あなたが今お抱えの勤怠管理システムに関するお悩みは、きっと他の誰かが解決済みの課題かもしれません。 100社以上の担当者様を対象にリアルな現場の課題と対策方法を調査しまとめています。
ぜひ成功企業の事例を参考に貴社の勤怠管理の見直しにお役立ていただけますと幸いです。
「勤怠管理システムリプレイスの意識調査」を無料ダウンロードする目次
打刻漏れやタイムカードの押し忘れが発生する理由
まずは、そもそもなぜ打刻漏れが発生するのか、その原因を整理していきましょう。
よくある原因1.打刻が習慣化されていない
打刻が習慣化されていないことが原因で、打刻を忘れてしまう従業員も多いです。
例えば「寝る前に歯磨きをする」のように、業務を開始する前、もしくは業務を終了して帰宅する前に打刻を行うことが習慣になっていれば、頻繁に忘れてしまうことは少ないと考えられます。
以下のような理由で習慣化が妨げられていないかを確認してみましょう。
- 打刻機の位置が目立たない場所、もしくは業務の開始位置から遠い場所にある
- 打刻方法自体が複雑で、従業員が打刻を行うのが億劫に感じている
- リモートワークや外回りの営業など、従業員が不慣れな働き方をしている
- そもそも従業員が打刻に慣れていない(新入社員や新人アルバイトなど)
このように、流れ作業的に打刻を行えないことが原因で、打刻を忘れたまま業務を開始/終了してしまうことが考えられます。
また仮に習慣ができていたとしても、何らかのイベントなど、通常とは異なる特別な手順で業務を行う場合に忘れてしまうこともあります。
よくある原因2.打刻を行う余裕がない
打刻を行う余裕がない場合に、忘れたまま業務を開始/終了してしまう可能性があります。
- 業務が忙しい
- 緊急事態の対応が必要になっている
- 出勤時間がギリギリに迫っている
これらの状況下では打刻が疎かになりやすいため、注意が必要です。
打刻漏れを未然に防ぐための4つの対策
打刻漏れが起きないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。
打刻漏れが発生するのは、従業員が打刻することを思い出せず(想起できず)、習慣化できていないことが原因となるパターンが多いでしょう。
そのため打刻漏れを防ぐには、「打刻を思い出す機会を作ること」や「打刻の負担をできる限り軽減すること」「無意識に打刻できる環境を作ること」などが有効です。
打刻漏れの対策としておすすめの方法を、より具体的に解説していきます。
打刻漏れの対策方法
- 打刻機を出入口や動線上に配置する
- 注意喚起のポスターを貼る
- 出勤/退勤の流れをなるべく標準化する
- 従業員の働き方に合わせた打刻方法を採用する
対策1.打刻機を出入口や動線上に配置する
打刻機(タイムレコーダー)の位置が悪いことが原因で打刻漏れが発生しているケースがあります。打刻機を、従業員が出入りする扉のすぐそばや、職場までの動線上などに配置しましょう。
出入口近くや動線上に打刻機があれば、出退勤時に目につくことで打刻を思い出しやすくなり、習慣化しやすくなります。
対策2.注意喚起のポスターを貼る
従業員の目につく場所に、打刻を促すポスターを貼るのも効果的です。
例えば、出退勤時に従業員が出入りするドアに「打刻しましたか?」という内容のポスターを貼ります。万が一打刻を忘れていても、ポスターを見てすぐに打刻しに行けるような場所が理想です。
長い間同じポスターを貼っていると景色と同化してしまい効果が薄れるので、定期的にポスターの内容を変えると良いでしょう。
対策3.出勤/退勤の流れをなるべく標準化する
習慣を付けるために重要なのは、毎回同じフローで同じ行動をすることです。そのため、打刻を習慣づけたいのであれば、毎回同じ流れで出勤・退勤をすることが望ましいと言えます。
例えば、
- 出勤時にはロッカーに荷物を置いた後、席につく前に打刻機へ向かうことをルール化する
- 外回り営業で直帰する場合は、最後に訪ずれた建物を出る前に打刻することをルール化する
このようにルールを作り毎回同じ動作を繰り返すことで、打刻を習慣として定着させられるでしょう。
対策4.従業員の働き方に合わせた打刻方法を採用する
打刻を習慣化するためには、従業員にとって負担がなく、流れ作業で行る打刻方法を取り入れることも重要です。
「勤怠管理システム」というシステムを利用すれば、自社の働き方に合わせて、以下のような打刻方法を選べます。
Web打刻 |
PCやスマートフォンからWebブラウザにアクセスし、打刻ボタンを押す |
---|---|
QRコード打刻 |
事務所に設置したQRコードをスマートフォンで読み取る |
チャット打刻 |
LINEやSlackなどのチャットアプリと連動し、チャットアプリから決められたメッセージを送信することで打刻する |
PCログ打刻 |
パソコンをオンにした時刻を「始業時刻」、オフにした時刻を「終業時刻」として自動的に打刻する |
※対応している打刻方法は、勤怠管理システムによって異なります。
普段の業務でパソコンを使う従業員が多いのであれば、Webブラウザからボタン一つで打刻できる方法や、パソコンの電源をON/OFFにすることで出勤/退勤を記録できるPCログ打刻などを採用すると良いでしょう。
日常的にSlackを使っている職場ならSlackでのチャット打刻、直行直帰が多い現場ならスマートフォンからも打刻できるWeb打刻を採用するなど、「自社の従業員が行いやすい打刻方法」を選ぶことも可能です。
もし顔認証やICカード、体温などで入退室の管理をしている場合には、それらと連動して打刻できるシステムを導入するのも良いでしょう。
また、多くの勤怠管理システムでは「打刻漏れ防止」のためのアラート機能が備えられています。打刻漏れをシステムが検知し、自動で管理者と従業員にアラートを発信してくれるのです。
この機能を活用すると打刻漏れがあっても当日または翌日にすぐ気づけるため、修正も容易に行えます。
勤怠管理システムなら、打刻漏れが「起きる前の防止」「起きた後の処理」が両方できる
打刻漏れの悩みを解消したい場合に最もおすすめの方法は、勤怠管理システムを導入することです。
打刻機の配置の工夫やポスターでの注意喚起を行っても、従業員が打刻を忘れてしまえば意味がありません。
勤怠管理システムは、従業員が意識せずとも「打刻漏れしにくい」「打刻漏れがあったとしてもすぐに気づける」仕組みによって、打刻漏れを最小限に抑えることができます。
打刻漏れ対策として「勤怠管理システム」がおすすめの理由
- 打刻漏れを検知すると自動でアラートを出してくれる
- 打刻修正(打刻修正申請)できる
- ワークスタイルに応じた、従業員の負担にならない打刻が可能
※勤怠管理システムによっては、打刻漏れに関する機能を備えていないものもあるため注意してください。
ここでは、勤怠管理システム「チムスピ勤怠」が対応している打刻漏れ対策を例に、どんなことができるかを紹介していきます。
理由1.打刻漏れを検知すると自動でアラートを出してくれる
勤怠管理システムには、打刻漏れがあった場合に、事前に登録した条件をもとにシステムが自動でアラートを出してくれる機能があります。
例えば「24時までに退勤打刻がなかった場合にアラートを出す」などの設定が可能です。
さらに管理者だけでなく従業員本人にも直接アラートを届けることができます。管理者が従業員に連絡する手間が省けるため、業務を効率化できます。
理由2.従業員本人が打刻修正(打刻修正申請)できる
打刻漏れがあった場合、従業員が自ら打刻修正(または打刻修正申請)することが可能です。
打刻修正できる権限を変更可能で、従業員に権限がある場合には直接打刻を修正でき、権限が管理者のみの場合は「打刻修正の申請」ができます。
▼打刻修正の申請をする場合の画面イメージ
理由3.ワークスタイルに応じた、従業員の負担にならない打刻が可能
前述の通り、勤怠管理システムではさまざまな方法で打刻を行えます。
▼チムスピ勤怠で行える打刻方法
- ICカード打刻(Felica,Mifare)
- 顔認証打刻
- Slackなどのチャットアプリ打刻
- PCログとの連携打刻
- 入退館データとの連携打刻 など
例えば「PCログとの連携打刻」を利用すれば、PCを立ち上げた/閉じたタイミングで自動的に打刻が行われます。また「入退館データとの連携打刻」を採用して、会社への入退館と同時に打刻が行われるようにすることも可能です。
このように従業員のワークスタイル応じた打刻方法を選択することで、打刻を習慣化(もしくは自動化)でき、打刻漏れが起こらないような運用をすることもできるのです。
打刻漏れが起きた後の正しい処理方法
打刻漏れが起きてしまった場合、会社としてどのように対応すれば良いのでしょうか。
修正方法やペナルティ、処分も含めて解説していきます。
打刻漏れが起きた後の処理方法
- 事実に即した内容で打刻修正を行う
- 本人に注意喚起を行って再発を防止する
- 打刻漏れを繰り返す場合には始末書を提出させる
- 罰金や欠勤扱いにすることは法律違反に当たるため避ける
- 減給する場合は法律で定められた範囲内で行う
処理方法1.事実に即した内容で打刻修正を行う
打刻漏れにより出勤時刻または退勤時刻の記録がないと、そのままでは勤務した時間が確定できず、給与計算もできません。
そのため、打刻修正が必要となります。
その際に大切なのが、「実際の出勤時刻や退勤時刻」の事実確認をして打刻修正を行うことです。
記録が残っていないため正確な事実確認は難しくなりますが、本人や周りの従業員から聞き取り調査などを行い、できる限り事実に即した打刻時間を記録しましょう。
▼その他の確認方法
- パソコンのログイン履歴
- 社内システムの使用履歴
- メールやチャットの履歴
- 貸与しているタブレットやスマートフォンのアクティビティログ など
なお、「打刻漏れした日は定時で働いたことにする」などの対応は避けましょう。事実に反する打刻修正を行うことは法律違反に該当します。
処理方法2.本人に注意喚起を行って再発を防止する
打刻漏れが発生してしまった場合は、本人に注意喚起を行って、再発を防止しましょう。
打刻漏れが起こった場合の事実確認の難しさなどを伝え、今後は忘れないよう意識を変えてもらうことが大切です。
叱ったり責めたりするのではなく、原因を確認して改善策を一緒に考えましょう。
処理方法3.打刻漏れを繰り返す場合には始末書を提出させる
何度注意しても打刻漏れが改善されない場合には、懲戒処分の一環として、始末書を提出させることを検討しましょう。
始末書を書かせることで、打刻漏れが続く原因について本人に深く考えてもらい、ミスに対する認識を改めてもらう効果があります。
ただし、たった1回打刻漏れがあっただけで始末書を提出させるのは、従業員の士気を下げる可能性があるため注意しましょう。
処理方法4.罰金や欠勤扱いにすることは法律違反に当たるため避ける
打刻漏れのペナルティとして罰金を科したり欠勤扱いにしたりすることは法律違反に当たります。
罰金については、労働基準法第16条に以下のような記載があります。
(賠償予定の禁止) 第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
そのため「打刻漏れ1回につき1,000円の罰金を支払う(給与から控除する)」などの対応は法律違反となるので、注意が必要です。
また、打刻漏れをした日を欠勤扱いにするというペナルティも違法です。これは労働基準法第24条の定めによります。
(賃金の支払) 第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(後略)
従業員が勤務した分の対価は全額支払わなければならないため、打刻漏れを理由に欠勤扱いにするペナルティは適していません。
処理方法5.減給する場合は法律で定められた範囲内で行う
何度も注意し、始末書も提出させているにもかかわらず打刻漏れが続く場合には、懲戒処分を検討することもできます。
罰金の予定額を定めたり、欠勤扱いにしたりするのは違法ですが、就業規則であらかじめ減給される条件を周知した上で、懲戒処分として減給することは可能です。
労働基準法第91条により、1回の減給額は「1日の平均賃金の半分以下」まで、減給総額は「給料1カ月分の10分の1以内」と決められています。
(制裁規定の制限) 第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
なお、減給処分を行う場合には「減給にするほど企業秩序を乱した」と認められる「相当性」が必要となります。打刻漏れを1~2回した程度では、重い減給処分を下すことはできません。
まずは口頭で注意し、それでも続くようなら始末書の提出を求めて、その後に減給処分、という手順を踏んだ対応を取りましょう。
打刻漏れがよく起こる職場では早めの対策が必要な理由
打刻漏れが頻繁に起こる職場では、なるべく早めに対処が必要です。
打刻漏れが起こると、以下のような3つの弊害があります。
打刻漏れによる3つの弊害
- 勤怠管理担当者の負担が大きくなる
- 従業員の労働時間を正しく把握できず、賃金の支払いに影響が出る
- 知らない間に法律を犯してしまう可能性がある
弊害1.勤怠管理担当者の負担が大きくなる
打刻漏れが起きると、本来打刻するはずだった時刻を後から推定し、なるべく正確な内容に修正しなければいけません。この作業に伴い、以下のようなさまざまな業務が発生します。
- 時間を推定するための調査
- 従業員への連絡
- 打刻漏れを防止する仕組みづくり
場合によっては労働時間や残業時間の計算をやり直さなければいけないケースもあり、勤怠管理担当者の負担が大きくなってしまいます。
弊害2.従業員の労働時間を正しく把握できず、賃金の支払いに影響が出る
打刻漏れがあると、従業員の労働時間を適正に把握することが難しくなります。
例えば、従業員が打刻せずに退勤してしまい、「あの日は仕事が溜まっていて23時まで仕事をした」と主張したとします。この場合、記録が残っていないため、企業としては「本当に退勤時刻が23時だったのか」を確認することは難しいでしょう。
この場合、従業員の主張を信じて23時を退勤時刻とするのか、それとも定時で退勤したことにするのか、対応を考えなければいけません。
このように、打刻漏れが発生すると記録に基づいた適正な労働時間を把握することが難しくなり、適正な賃金の支払いができなくなってしまいます。
弊害3.知らない間に法律を犯してしまう可能性がある
労働安全衛生法が改正されて、2019年4月1日から「従業員の客観的な労働時間の把握」が義務となっています。
打刻漏れが常態化してしまい、従業員の勤務状況を適正に把握・管理できていない場合、この法律の要件を満たせない可能性があります。
また、労働時間を適正に把握できないことで、残業代の未払いが発生したり、時間外労働の上限規制を超えてしまったりするなど、知らない間に法律を犯してしまう危険性もあるのです。
まとめ|仕組みを整えて打刻漏れの悩みから解放されよう
打刻漏れがあると、勤怠管理担当者の負担が増えるだけでなく、気づかないうちに法律を犯してしまう恐れもあります。
打刻漏れは、従業員に打刻を行う習慣がつかないことが原因で発生するケースが多いです。そのため「打刻することを思い出す機会を作ること」や「打刻の負担をできる限り軽減すること」「無意識に打刻できる環境を作ること」が必要となります。
また、打刻漏れが起きた際の対処方法にも注意が必要です。ペナルティや処分を行う場合には、法律や社内の規約に沿った対応が求められます。
- 事実に即した内容で打刻修正を行う
- 罰金や欠勤扱いにはせず、減給する場合は法律で定められた範囲内で行う
打刻漏れを未然に防ぎ、かつ起こってしまった際の対処を効率的に行うには、以下のような機能を持つ勤怠管理システムを導入することがおすすめです。
- 打刻漏れを検知すると自動でアラートを出してくれる
- 打刻修正(打刻修正申請)できる
- ワークスタイルに応じた、従業員の負担にならない打刻が可能
勤怠管理システムにもさまざまな種類があるため、打刻漏れを解消できる機能があるかどうか、しっかり検討したうえで導入しましょう。
自社に最適な勤怠管理システムをお探しの方へ
- 既存システムでは機能や柔軟性が不足しており、その課題を解決したい
- 就業規則の変更や法改正に都度対応できるシステムを利用したい
- 自社に合わせたシステム運用を提案・サポートしてもらいたい
このような企業には、100以上の勤務パターンへの対応実績があり、会社独自の細かいルールや法改正にも柔軟に対応できる勤怠管理システム「チムスピ勤怠」が最適かもしれません。
解決できる課題や運用イメージなどを具体的にまとめた「チームスピリット サービスご紹介資料」をご用意しました。勤怠管理システムの導入をご検討中の方は、まずは一度ご覧ください。
「チームスピリットご紹介資料」を無料ダウンロードする関連する記事